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不動産のプロが教える「マンションを高く売却できる人」がやっていること

PHPオンライン衆知 / 2024年8月5日 11時50分

マンション売却の注意点

マンションの価格高騰が止まらず、都心のマンションを中心にバブル期超えの最高値を更新している。しかしその中でも、資産性を維持できる「選ばれるマンション」と資産性を落とす「選ばれないマンション」の物件格差がかつてないほど広がっているという。本稿では、マンションを高く売却するためのポイントを、書籍『マンションバブル41の落とし穴』より紹介する。

※本稿は、長嶋修著『マンションバブル41の落とし穴』(小学館)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

マンションの「終活」はまだまだ先のこと?

今のマンションは、未来永劫建て替えたり解体したりしないという前提で超長期の修繕積立計画を立てるのが良しとされています。実際、長期的な目線で計画をすることは重要ですし、鉄筋コンクリート造の建物は定期的に修繕を繰り返すことで、築100年以上になっても延命できるでしょう。

ただ、現実問題として日本に築100年を超えるマンションはなく、古い集合住宅は建て替えや解体が実施されています。よって、お手本にできるようなモデルケースはありません。

マンションが古くなるとともに、住民も高齢化します。世代交代をしながら住み継がれるマンションもあり、それは一つの理想形と言えますが、どのマンションにも次々と若い世代が入ってきてくれるわけではありません。現実には建物も住民も同時に老いていくマンションのほうが圧倒的に多いのです。

高齢者ばかりのマンションでは、管理組合の機能がおのずと低下していきます。滋賀県野洲市では、築50年近い鉄骨造の分譲マンション(全9戸)が廃墟化。長年にわたって住人は一人もおらず、建物は老朽化が進み、壁などの剥落で事故が起きることや、アスベストの飛散などが危ぶまれていました。

野洲市はこのマンションの区分所有者に解体要請を出しましたが、解体費用は1戸あたり約1300万円と高額で、実際に回収できたのは3戸分のみ。残りは市が公金を投じ、「空き家対策特別措置法」に基づく行政代執行によって解体を終えています。

このような事例は今後増加する可能性が高いでしょう。マンションの老いを止められず、費用面から建て替えも難しいとなったとき、一体どのような出口に向かっていくのがベストなのでしょうか。

考え得るのは、一定の期間でマンションを解体することを決めておき、解体後は敷地を売却して、それを区分所有者に分配するというやり方です。区分所有者はそのお金を手にして、別のところ(老人ホームなど)に住み替えることができます。

たとえば、「竣工から60年後に解体する」と決めたとします。築60年目の出口までに管理組合がやるべきことは、それまで安全に生活するための長期修繕計画を立てること。その点は、期限を決めていないマンションと何ら変わりませんが、工事に対する考え方は多少変わるはずです。

仮に18年周期で大規模修繕工事を行うとして、通常だと3回目あたり(築54年目)の修繕は、かなり大がかりになることが予想されます。しかし、60年で解体するというゴールが決まっていたとしたら、あと6年持たせればいいだけなので、そこまでお金をかけた工事をする必要がありません。そのため、修繕積立金を合理的に削減することができます。

一方で、修繕積立金とともに「解体積立金」を少額ずつ貯めておく必要はあります。定期借地権のマンションだと、借地期間満了時に更地で返すために解体積立金を貯めておくので、これと似たようなイメージです。

このような取り組みを検討している管理組合はまだほとんどありませんが、人口が減少しているのに住宅の供給は続き、空き家問題が深刻化している今、このような選択が今後ポピュラーになってくる可能性は十分にあります。

マンションを解体した跡地はかなりの広さになるので、ホテルやオフィスビル、学校などの建設用地として買い取られることもあるでしょう。旧耐震の時代に建てられた古い物件は、都心の好立地に建てられているケースも多いため、更地にして土地を売却することで、利益を得られるかもしれません。

ただ、日本の不動産価格は三極化が進んでいるため、郊外の駅からも遠い場所となると、土地価格が大幅に下落し、解体して敷地を売却しようにも売れない、もしくは安値しかつかない可能性も高くなります。そうなると、住む家がなくなり、住み替えるお金も手にできなくなってしまう人が出てくるという問題はあります。

しかし、最近では国もマンションの老朽化問題に向き合っています。このような形のマンションの「終活」を根付かせるため、法令の改正や補助制度などを整備していくことも考えられるでしょう。

 

マンションの売却は、高い査定額を出した不動産会社に頼むべき?

自分が住むための不動産を買う場合、なるべくいい物件を安く買いたいところですが、自分にとって都合のいいタイミングと、不動産市況が安くなっているタイミングが合致するとは限りません。売る場合も同様で、高値で売りたいと思っても、そう都合よく事が運ぶかどうかは難しいところです。

今のように市況が好調であっても、必ずしも高く売れるわけではありません。たとえば自分が500万円で持ち家を売り出したとき、同じマンションでまったく同じ広さ・間取りの物件が3000万円で売り出されていたら、絶対に売れないでしょう。これは極端な例ですが、不動産売買はマクロの市況以上に、ミクロの競合に左右されがちなものであることは事実です。

売却を検討する際は、一般的に不動産会社に仲介を依頼し、買主を探してもらいます。この不動産会社選びは非常に重要で、「うち、高く売りますよ」などと根拠のないことを言ってくるところを選ぶのはNG。高い査定額をつけたからといって、実際にその値段で売却できるとは限らないので、査定額よりも売るためにどんな工夫をしてくれる会社なのかをチェックする必要があります。

高く売るために重要なのは、マーケットに合わせて柔軟に対応することです。たとえば、まず500万円で売り出して様子を探る。1週間で問い合わせ10件以上、内見希望が2件以上入らなければ、価格を少し下げる──といった具合に、マーケットにおける引き合いの強弱を見計らいつつ、常に最適な戦略を考えてくれる不動産会社がベストです。

仮に同じマンション、同じ広さの部屋で、急いで売りたいのか3000万円で売却している物件が出ていたら、いったん売るのをやめて様子を見ましょう。同じタイミングで5000万円で売り出したら絶対に売れず、価格を引き下げざるを得なくなるからです。

住み替えを検討していて早く売りたいケースなども多く、焦ってしまうこともありがちですが、必ず足元を見られてしまうので、納得の行く価格を守ってじっくり売りたいところ。かといって半年や1年もずっと売却情報を出し続けていると、頻繁に物件情報を見て物件を探している人に「売れ残り」のような印象を与えてしまいます。

情報は鮮度が命なので、古くなると見向きもされなくなります。そのため、物件情報を3カ月出しても売れなければ、いったん売却を中止して1カ月休む。その後、多少内容をリニューアルして再び物件情報を出せば、その情報の鮮度は保たれます。戦略に長けた不動産会社であれば、このような駆け引きはお手の物のはずです。

すべてを不動産会社任せにするのではなく、売主としてもできることはあります。買主は物件情報サイトを見て情報収集をするため、物件の説明文は非常に重要です。書くのは不動産会社の担当者ですが、その人は実際に住んでいるわけではないので、住んでみたからこそわかるようなリアリティのある紹介文は書けません。

売主のほうから「そもそも自分がこの物件をなぜ買ったのか」「住んでみて良かったのはどんなところか」などを文章にまとめて、不動産会社に渡すといいでしょう。

「雨の日でも、駅から濡れずに家に帰れる」「リビングが広々していて明るい」「駅からかなり近いけど、線路側の部屋ではないから騒音は気にならない」「晴れた日は富士山がよく見える」「高層階なので夜景が最高にきれいで癒やされる」など、具体的なメリットを挙げるのがおすすめ。景色について言及するなら、写真を一緒に不動産会社に渡しましょう。

リノベーションを行っているなら、その点も詳細にアピールを。たとえば「トイレ・2018年に交換済み」などと書くだけより「トイレ・2018年にTOTOのハイグレード商品『○○(商品名)』に交換」と書いたほうが、格段に魅力はアップします。ワークスペースのようにこだわった場所があるなら、そこも売りになるでしょう。

買主は一度や二度内見しただけでは、物件について隅々まで理解することはできません。ですので、このように詳細な説明があると、俄然関心を高めてくれるものです。うまくアピールすれば、その買主は物件を「買ってくれる人」ではなく「買いたくて仕方ない人」になっていきます。そこまでいけば、高値で売却できる可能性はかなり高くなってきます。

大規模なタワマンなどは、住戸数が多いためにライバルも多くなります。戸建住宅だとまったく同じ条件の物件というのは存在しませんが、マンションだとほぼ同じ条件の部屋もあるので、同時に売り出されたときにはライバルになります。そこで差別化をするためにも、前述のようにアピールをすることが大きな意味を持ってくるのです。

 

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