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「子持ち様」論争の背景にある潮流 職場の助けあい文化に搾取される社員

PHPオンライン衆知 / 2024年7月29日 11時50分

「子持ち様」論争の背景にある潮流

やる気が出ない、仕事がつまらない...そんなモヤモヤの原因は、もしかすると「職場の同僚のフォロー疲れ」にあるのかもしれません。どんどん余裕がなくなっていく職場でしんどさを軽くするヒントとは? 労働者メンタルヘルスの専門家である佐藤恵美さんによる書籍『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』から紹介します。

※本稿は、佐藤恵美著『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。

 

自分の仕事はあとまわしで、人のフォローに走りまわる毎日

「仕事にやる気が出ない」「仕事にやりがいが持てない」「仕事がどんどんつまらなくなっている」――。
最近、そんなふうに感じることはありませんか。

やりたい仕事だったはずなのに、かつては楽しみながらやっていたのに、まずまずの条件で入った会社なのに、今は、そう思えなくなっている。今の職場で、どうしても我慢できない大きな問題があるわけではない。今の仕事をやめるつもりもない。でも、なんとなく「このままでいいのか」というモヤモヤした思いがある。

私は労働者メンタルヘルスの専門家として多くの人の相談に乗ってきましたが、最近特に、そんなふうに感じている人が増えているような気がしています。なぜ、そんな気分になってしまうのでしょうか。

事情は人それぞれだと思いますが、あまり意識されていない理由の1つに、「職場の同僚のフォローに疲れてしまった」というのがあると私は考えています。

特に、この記事を読んでくださっているような、よく気がついて、見過ごせなくて、ついがんばりすぎてしまう人は要注意です。まわりから「面倒見がいい」と思われ、頼りにされるタイプの人です。

同僚が困っていたり、職場の業務がとまっていたりすると、自分の仕事をあとまわしにして、人のフォローに走りまわっていませんか。人員の補充が期待できないかぎられた人数の職場で、なんとか各方面に迷惑をかけないように、必死になっているのではないでしょうか。

 

「協力」「助けあい」という都合のいい言葉

職場では、メンバーそれぞれが自分に与えられた役割を果たしながら、成果を生みだしています。その過程では、当然、人と協力して助けあうことが必要不可欠です。

しかし、「協力」「助けあい」という言葉のもとに、職場には釈然としない「名もなきフォロー」がたくさん存在しています。だれがやるのかさえ決まっていなくて、気づいた人がやることになっているような仕事です。そんな仕事に自分の時間や労力を奪われている感覚があると、「いったい自分はなにをやっているんだろう......」と徒労感を覚えます。

そんな状況が続くと、どんなに面倒見がいい人でも、「なんで自分がやらなきゃいけないの!?」「自分ばかりやらされている気がする!」「ほかの人は、なんで気づいてやらないの!?」 といった、ささくれだった気持ちになってきます。

最近、SNS上で大論争を巻きおこした「子持ち様」(子どもの体調不良などで、早退したり、休んだりすることを繰り返す、子育て中の同僚を揶揄する言葉)も、「なんで自分がやらなきゃいけないの⁉」と思ってしまうような余裕のない職場がたくさんあることをあらわしているのでしょう。

なぜ、このような職場が増えているのでしょうか。

それは、産業構造の変化という大きな流れが背景にあります。個人のレベルではどうしようもない経済産業の流れです。

その大きな流れが、職場の個々の働きにくさになったとき、「あの人がちゃんと仕事をしてくれれば、こんなフォローは必要ないのに」「あの人がいるから、よけいな手間が増えて大変だ」「あの人さえいなくなれば、もっと早く帰れるのに」といった、だれか特定の個人に原因を追及したり、攻撃したりするかたちで表面化します。

もちろん、フォローしなければならない相手に問題がある場合もありますが、産業構造の変化という大きな流れが背景にある以上、職場の「あの人」がほかのだれかに代わったとしても、似たような状況がまた起こる可能性が高いわけです。

 

他人の穴埋め仕事に「なんで自分が!?」

余裕のない職場でよく耳にする言葉は、次のようなものです。

「これは自分の仕事じゃない」
「この仕事は、あの人に任せられない」
「この業務について、なにも聞いていない」
「自分の業務をわたしたくない」

これ以上、業務を増やしたくないけれど、自分の業務はとられたくない――そんな職場の状況をあらわしている言葉です。

メンバーの動きが「守り」になっていて、おたがいが柔軟に業務をまわすことができず、評価されない穴埋め仕事は、だれもやりたくない状況です。たまたま穴を埋めざるをえなくなったメンバーは、当然「なんで自分が⁉」という理不尽な気持ちになって、職場で対立や衝突が起こりやすくなります。

 

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