声優・春瀬なつみ、漫画『メダリスト』作者からの手紙に涙 「憧れのキャラを演じられて幸せ」
PHPオンライン衆知 / 2024年7月31日 20時0分
第48回講談社漫画賞の贈呈式が、2024年7月31日に開催されました。司会はお笑いトリオのパンサー(菅良太郎さん・向井慧さん・尾形貴弘さん)、元AKB48の宇佐美友紀さんが務められました。
受賞した作品は、少年部門の『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人/作画:アベツカサ)、少女部門の『きみの横顔を見ていた』(著:いちのへ瑠美)、そして総合部門の『メダリスト』(著:つるまいかだ)の三作品です。受賞者の言葉や作品の講評など、贈呈式のもようをお伝えします。
講談社漫画賞、栄えある受賞作品発表!
少年部門:『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人/作画:アベツカサ)
魔王を倒した勇者一行の後日譚ファンタジー
魔王を倒した勇者一行の"その後"。魔法使いフリーレンはエルフであり、他の3人と違う部分があります。彼女が"後"の世界で生きること、感じることとは...。物語は"冒険の終わり"から始まる。英雄たちの“生き様”を物語る、後日譚(アフター)ファンタジー!
少女部門:『きみの横顔を見ていた』(著:いちのへ瑠美)
高1男女4人、全員片想い中。すべてが愛しい青春群像劇! 1人目の主人公は平凡を極めた高校1年生の光。恋愛とは縁遠く、親友の美少女・麻里に見合う男子を探す日々。そんなある日、麻里の相手役として妄想していたクラスのムードメーカー・大谷くんと学年一のイケメン・朝霧くんから話しかけられて――。さらに、2人目の主人公は大谷くん。愛されキャラの彼が想いを寄せるのは――。4人の恋と友情がはじまる!
総合部門:『メダリスト』(著:つるまいかだ)
人生ふたつぶん懸けて、叶えたい夢がある! 夢破れた青年・司と、見放された少女・いのり。でも二人には、誰より強いリンクへの執念があった。氷の上で出会った二人がタッグを組んで、フィギュアスケートで世界を目指す!
第48回選考委員 海野つなみさんによる講評
第48回講談社漫画賞の選考委員を務めた、『逃げるは恥だが役に立つ』の作者・海野つなみさんが、受賞作品の講評で熱い想いを語りました。
特に、少年部門で受賞した『葬送のフリーレン』については、「4年前からずっと応援していた作品なんです!」と目を輝かせながら、その魅力を熱弁。 「冒険の後を描くという斬新な設定、美しい絵、そして小さな物語と大きな物語が見事に組み合わさったバランスの良さ。登場人物たちがこれから何を経験し、何を失っていくのか、その旅を見守るのが本当に楽しみです」と、作品への愛を語りました。
少女部門の『きみの横顔を見ていた』については、「恋愛漫画にとどまらず、登場人物たちの心の機微を丁寧に描いた作品」と絶賛。物語は登場人物全員が全員片思いをしているというもので、海野さんは「感情の揺れ動くさまを丁寧に描いた間違いないストーリー」と太鼓判を押します。そして"繊細な感情表現こそが少女漫画の持つ強さ"と語り、これからも続きが楽しみな作品だとお話されました。
そして、総合部門の『メダリスト』は、「物語の緩急のつけかた、キメシーンの気持ちよさに舌を巻く」と評価。アニメ化も決まっているけど、選考委員の間では「アニメはマンガを超えられないのでは?」と話題になったほど、完成度が高い作品だそう。「どこまで一緒に連れて行ってくれるのか、ワクワクしています」と、今後のストーリー展開への期待を語りました。
最初はギャグ漫画の予定だった『葬送のフリーレン』
原作・山田鐘人さん、作画・アベツカサさんの代理で登壇した週刊少年サンデー編集長・大嶋一範さんが『葬送のフリーレン』のこれまでの道のりを振り返りました。
「『葬送のフリーレン』の企画が最初に持ち込まれたのは2019年。当初は勇者と魔王のギャグ漫画という話だったのですが、出来上がったのは長命のエルフと人間の交流を描いた、全く異なる美しい物語でした。
その魅力的な原作を、新進気鋭の作家であるアベツカサ先生に読んでいただき、細やかな感情を描き切る、繊細で魅力的な作画を担当いただきました。2020年の連載当初より、読者から熱烈な支持を集め、昨年秋口より放映されたTVアニメーションでは、稀に見るハイクオリティな映像、そして金曜ロードショーでの放送も実現するなど、多くの方々に愛される作品となりました。
山田鐘人先生とアベツカサ先生の、1ページ1コマへの並々ならぬこだわりと頑張りが実り、晴れがましい場で歴史ある漫画賞をいただきましたこと、改めて皆様に深く御礼申し上げます」
大嶋編集長は、作品がここまで愛されるに至った背景を語り、作者の二人への敬意を表しました。今後も『葬送のフリーレン』がどのように発展していくのか期待されます。
いちのへ瑠美さん「純粋に自分が読みたい物語を書いている」
『きみの横顔を見ていた』作者のいちのへ瑠美さんは「商業誌で漫画をかく人間として、正しいことではないという自覚はあるのですが、伝えたいメッセージがあるという訳ではなく、純粋に自分が読みたい物語を書いています」と、創作の原点を明かしました。
しかし受賞を機に、「繊細な作風であるが故に、苦しんでいる作家さんたちを見てきたので、こういうネームでも評価をいただけることもあるんだよということで、作家さんたちにメッセージを送ることができたらなと思っています」と、他の漫画家へのエールを送りました。
声優・春瀬なつみさんが明かした『メダリスト』秘話
声優の春瀬なつみさんが『メダリスト』の作者・つるまいかださんへ、祝福のスピーチを行いました。
つるまさんは、なんと春瀬さんの長年のファン。会社員時代から頻繁にファンレターを送っており、その中には「会社をやめて漫画家になります。春瀬さんにアニメの声優をやってもらうのが夢です」という言葉も。
春瀬さんは、『メダリスト』の発売日には、いてもたってもいられず書店へ駆け込み、家に帰って玄関先で一気に読み切り、感動のあまり涙したといいます。
その時に 「いのりちゃんを演じられたらどんなに素敵だろう!」と願った夢が叶い、来年放送されるアニメでは憧れのキャラクターを演じられる喜びを、涙ながらに語りました。
つるまさんも、春瀬さんのスピーチに感極まり、涙をこぼしながら、講談社漫画賞への熱い想いを語りました。
「私はいつも、講談社オフィスのトイレに向かう通路で、講談社漫画賞を受賞した『ブルーピリオド』や『スキップとローファー』の大きなパネルを見ていました。締め切りに追われ、あまり作品が売れない日々の中でも、いつか自分もあのパネルに並ぶような作品を描きたいと、いつも心に誓っていました。」
講談社漫画賞への情熱は誰にも負けないと語るつるまさん。作品に関わってくれた全ての人々、そして読者への感謝を述べるとともに、月刊アフタヌーンの編集長へ「『メダリスト』のパネルを、『スキップとローファー』の横に並べてくださいね!」とリクエスト。会場は温かい拍手に包まれました。
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