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自信がなくても「リーダーシップがある人」に変わるには? 1つの心理学的テクニック

PHPオンライン衆知 / 2024年8月26日 17時0分

セルフパペットとは

わたしたちは社会において、周りからさまざまな役割を期待されています。「リーダー」というのも、ひとつの役割です。

その役割を演じるために「リーダーとしての自分」というセルフ・パペットを設定します。これを心理学では「イメージとしての自己」と呼びます。ある状況、ある人物間において共有される「こうあるべき」とみなされる自分のことです。他者が評価するのは、この「イメージとしての自己」、つまり「セルフ・パペット」です。

※本記事は矢野香著『世界のトップリーダーが話す1分前までに行っていること』(PHP研究所)の内容を一部抜粋・再編集したものです。

 

カリスマたちは「リーダーとしての自分」を上手に操っている

歴史に名を残すカリスマと呼ばれるリーダーたちは、「リーダーとしての自分」を演じることで、まわりの人々を動かしてきました。トップリーダーと呼ばれる人こそ「セルフ・パペット」を上手に活用しているのです。

「なりたいリーダーとしての自分」をセルフ・パペットとして設定する。それを俯瞰しながら、操り人形を操るように動かしていく。当然そこには、リーダーとしての役割と、本当の自分との間にギャップが生じてしまいます。これを心理学では「役割距離」と呼びます。

役割距離は、現代においてはリーダーでなくても誰にでも必要な社会的スキルともいえます。SNSでの匿名発信や、本当の自分とは違うキャラのアカウントで発信することもあるからです。現代は、だれもが「セルフ・パペット」を操る必要があるのです。

 

弱い自分を守ってくれる「身代わり」

「セルフ・パペット」を設定する利点は大きく2つあります。

1つ目は、「自信がなくてもリーダーになれる」ということ。

本当の自分は、リーダーという役割を果たせる自信がないという方も大丈夫。セルフ・パペットに自信があるようにふるまわせることによって、本物の自信は後からついてきます。

クライアントの中にも、地方議員選挙に初出馬する専業主婦や先代の病気により急に家業を継がざるをえなくなった20代の経営者など、「本当の自分」はまだまだ自他ともにリーダーとは認められないという方がいらっしゃいました。

しかし「リーダーとしてのセルフ・パペット」を操るトレーニングを行い人前に立っていただいたところ、「将来、自分たちを守ってくれるリーダーになりそうだ」という周囲の方々からの期待を集め、応援を得ることに成功しました。そして、選挙に当選したり、名実ともに会社のトップの立場を獲得したりすることができたのです。

2つ目は、「自分の心を守る」ということ。

政治家や企業のリーダー、起業家などのトップリーダーは、会社や組織、地域を代表する公人です。公的な立場上どうしてもその一挙手一投足に注目が集まり、賛否両論が分かれてしまいます。どんなにキャリアを積んでも年齢を重ねても、他人からの批判や誹謗中傷に慣れる人はいません。大なり小なり心にダメージを受けストレスを感じます。

しかし「リーダーとしての自分」であるセルフ・パペットと「それを操る自分」を切り離せば、「批判されているのはパペットだ。自分が批判されているわけではない」と捉えることができます。人格否定されたのではないと思えることが、心を守ることにつながります。

「『無能なくせに偉そう』と批判を書き込まれたのは、声が大きすぎて相手の勘にさわったのかもしれない。次はパペットに、もう少し優しい声を出させてみよう」と変更することができます。

現代社会においては、見知らぬ人から非難を浴びることはトップリーダーなど特別な立場にある方だけの問題ではなくなってしまいました。誰もが匿名で言いたいことを言いあえるSNSコミュニティで悪口や誹謗中傷に深く傷つき、本来あってはならない悲しい選択をする方がいることも事実です。

SNS時代の今こそ、自分を守るために「セルフ・パペット」を設定しましょう。「セルフ・パペット」が身代わりとなり、あなたを守ってくれます。

 

セルフ・パペットをつくる3ステップ

<ステップ1>セルフ・パペットの種類を選ぶ

セルフ・パペットを次の3種類の中から選びます。アメリカの心理学者ソロモン・エリオド・アッシュが提唱した印象形成理論をもとにカテゴリーに分けています。あなたが理想とするリーダー像に近い姿を選択してください。

「親しみやすさ」
特徴:話しかけやすい、優しい、親切、明るい、元気、外交的、おもしろい

「活動性」
特徴:堂々とした、意欲的な、積極的な、鋭い、リーダーシップ、強い

「社会的望ましさ」
特徴:信頼できる、きちんとした、分別ある、誠実な、知的な、大人っぽい、安心できる

大事なことは本来の自分ではなく、なりたいリーダーとしての自分の姿を選ぶこと。本来の自分とはかけ離れていても大丈夫です。だからこそ、スピーチトレーニングによってそのギャップを埋められるように練習するのです。

 

<ステップ2>未来の自分を先取りする

「セルフ・パペット」は、現在の自分ではなく、未来の自分を先取りして設定しましょう。社会人であれば5年先、学生であれば10年先が目安です。将来自分がこうなっていたいというリーダー像をイメージします。そして、すでにリーダーとなった自分として行動します。

リーダーとしての話し方、将来着てみたいブランドの洋服、時計などの装飾品、手帳、ボールペン、バッグなどを買ってみる。住みたい街に行く、常連になりたいお店に行ってみるなどなど。

思いつく限りの想像を膨らませましょう。妄想でかまいません。小さなことから現実の行動にするのです。そのときにかかる費用は、自己投資です。

 

<ステップ3>新しい「セルフ・パペット」に変更する

「セルフ・パペット」を使って背伸びをする感覚を私は「制服理論」と呼んでいます。

学校の制服をイメージしてください。中学入学時は大き目だった制服は、卒業する頃には小さくなっています。そして高校に進学すれば、また新たな少し大きめの制服を着用します。

人が成長する過程も同じです。「理想像」は少し大きめ、背伸びをしたくらいがちょうどいいのです。成長期には制服を数年単位で新調するように、人としてさらに成長したい場合には「セルフ・パペット」を新調します。

初めに設定したセルフ・パペットをなんの負荷も感じずに楽々と操ることができるようになってきたら、次の段階へと進む合図。新しいセルフ・パペットに変更しましょう。

このときステップ①で選んだものとは別のカテゴリーを選ぶのもよいでしょう。

例えば、ステップ①で人前で話すことが苦手だったので「活動性」キャラクターを設定したとします。その後、堂々とした印象を手に入れた次は「親しみやすさ」キャラクターを設定します。すると、「堂々と」しているのに「話しかけやすい」というリーダーが誕生します。この印象の幅と深さが人間としての器の大きさ、対人魅力につながります。

ステップ①から③までを繰り返せば、最終的には「親しみやすさ」「活動性」「社会的望ましさ」のすべてを手に入れることができます。「セルフ・パペット」は、常にあなたをさらなる上のステージへと引き上げてくれる力強い相棒になるのです。

自分の人生を切り拓くために「セルフ・パペット」を設定し、「伝わる人」になるための話す力を磨いていきましょう。

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