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「ハラスメントの標的になりやすい人」の6つの特徴 身を守るための言い返し方

PHPオンライン衆知 / 2024年9月17日 11時50分

ハラスメントしてくる人への対処法

他人からの攻撃でストレスをためこみ、無駄に傷つかないように、嫌な印象を持たれずに言い返す方法をマスターしましょう。コミュニケーショントレーナーの司拓也さんが教える「嫌われずに言い返す方法」を、『PHPスペシャル』10月号よりご紹介します。(取材・文:洪愛舜)

※本稿は、『PHPスペシャル』2024年10月号より内容を抜粋・編集したものです。

 

合気道のように嫌な言葉をかわそう

悪意のある言葉を投げつけられても、言われっぱなしで我慢してしまう......そんな経験はありませんか?

とくに上司や同僚、ママ友、家族など、簡単に縁を切ることができない相手だと、なおさらかもしれません。その根底にあるのは、「嫌われるといけないから、攻撃を受けても言い返してはならない」という思い込みです。しかし、言い返すと本当に嫌われるのでしょうか?

たしかに、自分の主張を押し通したり、相手を論破するような反論をしたりすると、嫌われることがあるかもしれません。でも、嫌われずに言い返す方法はあります。

それは、真正面から相手に反発するのではなく、合気道のようにスルッとかわしてから言い返す、という方法です。「言うのは簡単だけれど、本当にできるの?」と思われるかもしれませんが、本稿で紹介するテクニックを使えば、誰でもできるようになります。

嫌味や悪口、マウンティングなどのハラスメントを仕掛けてくる人(ハラサー)からあなたが攻撃されている姿を、周りの人たちは案外よく見ています。もしあなたがその攻撃をうまくかわすことができれば、「あの人は攻撃されてもああいう態度をとれるんだ」「なかなかの大物だな」「ブレない人なんだな」と、周りからの評価が上がることでしょう。

また、同じようなハラスメントを受けている人が、あなたの行動を見て、「あんなふうに対処すればいいんだ」とお手本にすることもできます。このように、あなたが嫌な言葉をかわせるようになることで、ハラスメントを封じる環境づくりにもつながっていくのです。

 

ハラサーに狙われているかも?

1つでも当てはまる人は、攻撃されやすいタイプです。

□素直な性格だと言われる
□自分が悪いと考えがち
□あまり反論しない
□嫌われたくないという思いが強い
□とっさに言葉が出てこない
□言葉を飲み込むことが多い

 

めんどくさい相手の策略を暴く!

言葉の攻撃をかわすには、相手を知ることが必要です。ハラサーは、次に挙げるような心理テクニックを使って、あなたを支配下に置こうとします。身を守るために、相手の策略を理解しましょう。

 

・ニラハラ

怖い視線や冷たい目つきで相手をにらみつけて委縮させる「にらみハラスメント」。一度でもニラハラをされると、にらまれたときの恐怖心を拭い去ることが、なかなかできません。関わるたびに、「また攻撃されるかも」という不安を抱えながら対峙することになります。

 

・ダブルバインド

「わからないことがあれば、なんでも聞いてね」と言ったのに、いざ質問されると「少しは自分の頭で考えたら?」など、矛盾したことを言ってくるハラスメント。質問をしてもしなくても批判されるため、混乱したり罪悪感を覚えたりしてしまい、強いストレスを感じます。

 

・メモリーハック

相手の記憶や認識を改ざんし、操作するテクニックです。あやふやになっている記憶に対して、「自分はたしかにそう言った」「本当にちゃんと覚えているのか」「メモはあるのか」などと、強気で押し通してきます。それにより記憶に自信が持てなくなり、ハラサーの都合のいいように事実をゆがめられてしまうのです。

 

・ドナハラ

大きな声で相手を威嚇する「怒鳴りハラスメント」。相手にプレッシャーをかけることで何も言い返せないようにさせる、パワハラの一種です。とくに普段から声が小さい人は、このハラスメントを受けやすい傾向があります。

 

・社会的集団圧力

「あなた以外のみんなが、私と同じAを選んでいる」などと、多数がハラサーに賛同しているように思い込ませることで、相手を孤立させます。実際には全員がAを選んでいなくても、言われた側が少数派であるように錯覚させられると、意見を主張しにくくなってしまいます。

 

・ストローマン論法

議論中に相手の意見をわざとねじまげて不正確に表現し、それに基づいて反論する「言いがかり」的な手法です。たとえば「子供を道路で遊ばせると危ない」という意見に対して、「じゃあ、ずっと家に閉じ込めておけってこと!?」と反論するなど、誇張して表現するケースが多く見られます。

 

・ネガティビティバイアス

ポジティブな情報の中に、ネガティブな情報が一つでもあると、そちらに注意が向いて記憶に残ってしまうという心理現象のことです。それを悪用し、ネガティブな情報を相手へ意図的に伝えます。言われた側は、不安をあおられることで判断能力が鈍ってしまい、正常な考えができなくなるのです。

 

ハラスメントする人の正体

ハラサーは、生まれつき攻撃的な性格をしているとは限りません。じつは、ハラサー自身もハラスメントを受けてきた被害者であることが多々あります。

親や上司、先輩など、自分よりも強い立場の人からハラスメントを受けると、ストレスがたまり発散したくなることがあります。そんなとき、自分よりも弱い立場の人に無意識にハラスメントをして、ストレスのはけ口にしていることがあるのです。そのためハラサーは、「自分より弱い人」をハラスメントの対象に選んでいます。言い返してこない、言いなりになりそうなタイプの人を常に探しているのです。

 

 

嫌われない言い返し方

ハラサーの策略を知ることで心にゆとりが持てたら、いよいよ具体的な言い返し方を学びましょう。大切なのは豊富な語彙やフレーズではなく、基本のテクニックをおさえることです。

言い返すときに核となるのは、「承認」と「質問」という2種類のスキルです。これらを実行するためのテクニックを、以下に紹介します。「承認」と「質問」を組み合わせて、言い返してもいいでしょう。

 

1. 被害者を作らないための「基本承認」

嫌なことを言われたときは、その是非や正誤は問わず、「その通り」「そうなんです」と笑顔で受け入れましょう。笑顔のままで攻撃言葉をリピートすると、さらに効果的です。

じつはこの「基本承認」は、ハラスメントをする人にとって一番嫌な対応です。ハラサーは暴力的な言葉を投げかけることで、あなたが傷つくことを望んでいます。ところが、あなたが笑顔で言葉を受け入れると、「被害者」が誕生しなくなるのです。

攻撃を受け入れると「負けを認めた」と感じるかもしれませんが、周囲の人には「欠点を素直に受け入れられる、自信や余裕がある人」というふうに映ります。

 

2. 発言の意味を問いかけて、相手に考えさせる

攻撃してきたハラサーに対して、間髪入れず「それってどういう意味ですか?」と質問してみてください。言葉の意味や根拠を具体的に説明させる、有効な手段です。

「そのままの意味だ」「こんなこともわからないのか?」と反論されるかもしれませんが、ひるまないでください。メモを取りながら追及すると、さらに効果的です。

ここで大切なのは、感情的に質問するのではなく、落ち着いて問いかけること。案外、相手は無意識に攻撃をしている場合もあります。冷静に問い返すことで、自分が発した言葉の意味や背景について相手が考えるようになり、あなたへの攻撃が減少するでしょう。

 

3. ポジティブな言葉に言い換える「リフレーム」

ネガティブなことを言われたら、そのまま文字通りに受け入れたうえで、ポジティブに言い換えるテクニックです。

まずは言われた嫌な言葉をそのまま繰り返し、「だからこそ〜」「そのおかげで〜」と続けて、そのあとにポジティブな言葉に言い換えましょう。すると、意図した話題とズレて、相手は何も言えなくなります。

たとえば「太ったんじゃない?」と言われたなら、「そうなんです、太ったんですよ。だから幸せそうに見えるってみんなから言われるんです!」と返します。これを習慣化すると、悪意のある言葉の中にも、前向きになれる種が隠されていることに気づけるでしょう。

 

4. 「ヘルプ&ティーチミー」で立ち位置を変える

攻撃してくる相手に、「助けてください」とお願いしてみましょう。「助けようがない」と返されても「そんなことを言わずに助けてください!」と繰り返します。これによって相手は戸惑い、攻撃意欲が失せていくでしょう。

人は、助けてあげた人に対して好意的な印象を持つように心理が働きます。助けを求めることで、「救助される側と救助する側」という枠組みが作られて、相手は強く出られなくなるのです。

別パターンとして、「では、どうすればいいか教えてください」と教えを請うのもいいでしょう。ハラサーからアドバイザーへと立場が変化し、建設的な関係になれます。

 

不安や恐怖心がバレない「ポーカーボイス」を身につけよう

これまで紹介したテクニックを実行するうえで、とても重要なのは、言い返すときに不安や恐怖心を相手に察知されないようにすることです。

そこで、「ポーカーボイス」を身につけましょう。自分の感情を相手に悟らせないための表情を「ポーカーフェイス」と言いますが、これを声に置き換えた造語です。

気持ちが揺れ動くときは、相手の左目の黒目の中にある光を見て言葉を届けるようにしてください。不思議と心が落ち着き、声の震えや声が小さくなるのを抑制できます。不安でも、自信ありげに話せるようになるでしょう。

 

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