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デンマーク人の残業しない働き方 「定時に退勤」の常識はどう成り立っている?

PHPオンライン衆知 / 2024年11月11日 12時0分

デンマーク人の働き方

国際経営開発研究所が行う「ビジネス効率性」ランキングで過去4年連続1位のデンマーク。その高い生産性はどのように生み出されているのでしょうか? デンマーク在住の日暮いんこさんが目撃した、デンマーク人の「残業しない働き方」について書籍『幸せな国・デンマークでの気ままな生活 北欧、暮らしてみたらこんな感じでした』より紹介します。

※本稿は、日暮いんこ著『幸せな国・デンマークでの気ままな生活 北欧、暮らしてみたらこんな感じでした』(大和出版)を一部抜粋・編集したものです。

 

残業しない働き方

デンマーク人の働き方

デンマークの人々の働き方を見ていつも感心するのが、そのメリハリの上手さです。終業時間がはっきりと決まっており、効率的に働き、定時に帰宅するのが「普通」。

日本では、残業したり、仕事を家に持ち帰ったりするケースが「普通」であることが珍しくありません。

デンマークの一般的な会社では、多くの人が4時ごろには帰宅し、家族と過ごすことや趣味に時間を充てています。常に残業している人がいれば、それは「普通ではない」状況。問題視され、改善が求められます。

そうして1人ひとりがより充実したプライベートな時間を過ごし、その結果として仕事においても高いパフォーマンスを発揮するという好循環が生まれているように感じます。

私自身、日本でのOL時代、そして実は今でも、フリーランスの仕事のときは終業時間を特に決めずに、つい「この仕事のキリのいいところまで」なんて曖昧な目標で、ダラダラと長時間労働をしてしまうことがよくあります。そうすると、仕事と休憩の境目が曖昧な時間も増えていきます。

懲りずに長時間労働をしてしまうのは、仕事がノッているときであれば、それでも頑張れたという満足感があり、楽しかったりするからだと思います。

ただ、そのメリハリのない仕事習慣が問題なのは、仕事で行き詰まった途端に、集中も息抜きもどちらもできなくなってしまうことかもしれません。仕事は進まないし、ストレスも溜まり続けるという悪循環にはまってしまいます。

終業時間を「決めて、守る」だけ! とわかっていても難しいですよね。そんな中、日本に住む私の友達が、子供が産まれてから保育園のお迎え時間という絶対厳守の時間制限ができたことで、効率が格段に上がり、驚いたと言っていました。

それを聞いて、自分の力の及ばない締め切りがあるといいのかと気がつき、定時に終わらないと間に合わない時間にジムや病院、映画を予約してみたところ、本気で焦ることで集中でき、効果てきめんでした。「我こそは意志力薄弱なり!」という方におすすめします(ただ、習慣化する前にアポイント用件がネタ切れするともとに戻ります)。

 

シン・頑張り方

デンマーク人の働き方

「頑張らなきゃ!」って思うと、なぜかますます何もできなくなる。そんな経験、ありませんか?

私はこれまで「全部をできる限り完璧にしなければいけない、不器用な私は休んではいけない、もっともっと頑張らないと......」といった感じの謎の強迫観念がありました。学生時代はガリ勉、社会人になってからは残業ばかりの毎日。

ですが、空回りや失敗ばかりで当然「完璧」には程遠く、しだいに頑張ることも自分のことも嫌いになり、疲れて燃え尽きていました。そうして「疲れた→もう頑張れない→私はダメな人間だ」と落ち込み自滅し、長い間思考停止状態に陥っていた私。

そこから抜け出すきっかけとなったのは、デンマーク人の「頑張る」姿を見たことでした。それは、私のこれまでの「つらくても弱音を吐かず終電ギリギリまでとにかくやる」的な、肩に力が入りまくった「頑張る」とは異なっていました。

彼らの「頑張り方」は、例えば、
「息抜きを忘れず、生活全体のバランスを保つ」
「家族と過ごす時間のために、仕事は短時間で終える」
「完璧じゃなくても、とりあえず前進してみる勇気を持つ」
「きつい時こそ、助けを求める勇気を持つ」
というものでした。

これをみて、私は「頑張る」とは必ずしも自分を追い詰め、苦しめることではないのだと、ようやく気づいたのです。

私の場合はまずは、自分の現状や環境、気力と体力の残量をきちんと直視し、等身大の「欠点の多い、疲れた自分」を受け入れることから始めました。すると「無理なくできることから、小さく工夫しつつ一歩一歩進んでいく」ような、自分に合った「新しい頑張り方」が見つかりはじめたのです。

もちろん、これはわざわざデンマークまで来なくても気づけるような、当たり前のことなのかもしれません。しかし、日本における「頑張る」という言葉の便利さゆえに、私はその本質的な意味を見失っていたように思います。

この言葉の曖昧さと多義性は、時として自分やほかの人を追い詰めてしまうこともあります。具体的な基準や目標設定なしに漠然と「頑張る」ことは、ときに逆効果になってしまうことすらありますし、また、この言葉の持つ強い意志のイメージから、必要な休息や助けを求めることを躊躇してしまう人も多いでしょう。

あなたも、今いちど自分の「頑張り方」について考えてみませんか?

従来の「頑張る」のイメージにとらわれない「前向きかつ、持続可能で健康的な取り組み方」を、自分の「新しい頑張り方」として決めてしまいましょう。

この「頑張り方」を状況や目標の変化があるたびに探し、自分なりに見つけ続けていくことが、長期的な成功と幸福につながると私は信じています。

 

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