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「他人を信じすぎて損ばかりする人」が、相手との距離感を掴むコツ

PHPオンライン衆知 / 2024年12月10日 12時0分

他人を信じすぎてしまう人

人との適切な距離感がよくわからずに失敗してしまいがち...という人は発達特性によるものかもしれません。そんな発達特性を持ちつつナレーター、声優として活躍する中村郁さんは、適切な距離感で人と付き合うためのさまざまな工夫をしてきたといいます。その経験の中から得た、人と付き合ううえで大切な考え方を書籍『発達障害・グレーゾーンかもしれない人の仕事術』より紹介します。

※本稿は、中村郁著『発達障害・グレーゾーンかもしれない人の仕事術』(かんき出版)の一部を再編集したものです。   

 

人を「信用」するか「信頼」するか

発達障害を持つ人は、人の言葉をそのまま素直に信じる傾向が強いと言われています。人との距離感も間違えやすいため、一気に距離を縮め、まだあまり知らない相手に心を全開にしてしまって、利用され、後悔するなんてことも。

信じたのに裏切られた。よくある話ですが、私は裏切った相手よりも、相手の表面だけを見て、信じた自分のほうが無責任なのでは、と考えるようにしています。

人はいろいろな顔を持っています。時と場合によって、また時間の経過によって、変化します。私自身だって同じです。それなのに、相手の一部分だけを見て、「信じる」と勝手に決める。それでいて、自分の思っていたのと違う部分を見たときに裏切られたと感じるのは、ものすごく自分勝手なことだと気づいたのです。

「信用」と「信頼」。似ている言葉ですが、少し違います。

「信用」とは、これまでの実績や成果に対して、客観的な判断基準で評価した条件付きのものです。「信頼」とは、「信じて頼る」と書くように、自分の感情や主観が含まれ、その人の人柄や言動を見て決める無条件のものです。

これまで私が、「信じる」という言葉を使ってきたのは、「信頼」の意味のほうでした。プライベートでは、大切な人を信頼していきたい。一度「信頼」すると決めたなら、どこまでもそれを突き通す人間でいたいと思います。

でも仕事のときは、よほど付き合いのある方を除き、「信用」を選ぶことを心がけています。そして、その人に信用できる実績や成果があるのかを客観的に見極めます。

そして、相手を信用すると決めたら、自分が「トカゲ」になったと想像してください。信用は、トカゲのしっぽの部分に任せるのです。

体全体で信用してしまうと、もし相手の行為が信用に足るものでなかった場合、大きなダメージを受けてしまいます。しっぽに任せていたなら、相手が信用を失う行為をした場合、ちょんとしっぽだけを痛み少なく切り離し、あなたの心を守ることができます。

これは決して、いい加減に相手を信用しようということではありません。何かあったときに、ダメージを最小限に防ぐための処世術です。

 

手のひら返しをする人には近寄るな

手のひら返しとは、何かのきっかけにより、それまでの態度を急に変えることを言います。それまでは低く評価していた物事や人物のことを、周りが評価していることを知った途端に高く評価したり、またはその逆だったり。その場その場で都合よく態度を変えるような人に出会ったら、まず距離を取ることです。

残念なことに、結構な割合で、手のひら返しをする人はいます。

私は見た目が地味で、弱くおどおどして見えるためか、こういう手のひら返しをする人から、最初は必ずと言っていいほど、冷たくされます。挨拶しても目を合わせてくれない。まるで私がその場に存在していないかのような振る舞いをされます。いじめられたり排除されたりした経験があるため、「ああ、またか」と、私は冷たくされることには慣れています。

それよりも私が深く傷つくのは、最初見向きもしてくれなかった人が、私がナレーターや声優であることを知ったり、著名人と親しいことなどを知ったりした瞬間に態度を変えることです。人を見てコロコロ態度を変える人を見ると、とても残念な気持ちになります。先輩にはへいこらして、後輩には偉そうに振る舞う人も、この種の人です。

時と場合によってコロコロと意見や態度を変えるので、まったく信頼できません。このような人とは関わるべきではありません。

発達障害を持つ私たちは、すぐに人を信じてしまうところがあり、手のひら返しをする人と過ごしていると、相手の態度に一喜一憂し、振り回されてしまいます。早々にシャットアウトすることをおすすめします。

私の中での判断基準は、相手の態度に一貫性があるかどうかです。どのような相手にも、変わらぬ態度で接しているか。相手の立場によって、態度を変えていないか。その点に着目して見てみると、すぐに手のひら返しをする人かどうかを判断することができます。

私たちは、誰に対しても、一貫性を持った態度を心がけましょう。正直で裏表のないところが、私たちの強みでもありますね。不器用でもいいのです。真っ直ぐに人と向き合うべきです。弱者である私たちだからこそ、見える世界があります。

 

感謝は伝えすぎるくらいで丁度いい

発達障害を持つ人は、何かにつけて忘れっぽいので、知らず知らずのうちに、相手に失礼なことをしている場合があります。しかし、何をおいても忘れてはいけないものがあります。それは、感謝の気持ちです。

私の祖母は、いつも贈り物ばかりしている人でした。お世話になっている人、近所の人、友達、周りにいるありとあらゆる人に贈り物をしていたのです。そして、プレゼントを選んでいる祖母はとても幸せそうでした。

「なんでおばあちゃんは、人にプレゼントばかりしているの?」と私が聞くと、「いつもお世話になっている人に喜んでもらいたいからだよ。感謝の気持ちはしっかり伝えないと伝わらないからね」と、にっこり笑いながら答えてくれました。

この記憶が鮮明に焼き付いているので、私は何をおいても感謝だけは忘れてはいけない、と思いながら生きてきました。

発達障害でなくとも、人は自分が他人にしてあげたことはいつまでも覚えているのに、自分がしてもらったことは忘れてしまいがちです。

「○○さんに、あんなによくしてあげたのに」と文句を言っている人を見かけますが、相手も感謝はしているはずです。ただ、伝え方がよくなかったのだと思います。

私の所属事務所の会長が、次のような話をしてくれました。

「こんな3人がいたとしよう。心から感謝の気持ちを相手に伝える人。特に感謝もしてないけど、口先だけで感謝の気持ちを相手に伝える人。心ではものすごく感謝してるのに、躊躇して感謝の気持ちを口に出して伝えられない人。一番残念なのは、3番目の人になるんだよ」

一番残念な人にならないようにしたいですよね。感謝の気持ちは、どんどん口に出して伝えましょう。伝えすぎて「うざい」と思われないかな、なんて考える必要はありません。感謝されて嬉しくない人などいません。感謝の気持ちは伝えすぎるくらいで丁度いいのです。

 

ミスしたときに絶対にしてはいけないこと

日々、さまざまな対策をとりながら、ミスをしないように必死にがんばっている私たちですが、残念ながらどこかのタイミングで必ずミスをします。発達障害あるなしにかかわらず、私たちはロボットではなく人間なのでミスして当然です。

頭ではそうわかっていても、ミスしてしまうと悔しいですよね。こんなにがんばっているのに、人一倍注意を払ってミスしないように努力しているのに、なんでこうなってしまうんだ。自分が嫌になってしまいます。

しかし、どんなに悔しくても、ミスをしてしまったときに絶対にこれだけはしない、と決めていることがあります。それは、言い訳です。

まずすべきことは、謝ることです。

「申し訳ありませんでした!!!」これが最適解なのですが、つい言い訳したくなってしまいます。

約束の時間に遅刻してしまったとき、こんな謝り方をしたことがあります。

「いや〜ちゃんと出発したんだよ。でも、スマホを家に忘れてることに気づいてさ、急いで取りに帰って、それから駅まで走ったんだけど、目の前で電車の扉が閉まって、乗り遅れちゃった。ごめん」

0点です。実際、これはすべて真実で嘘はついていないのですが、相手からしたら「そんなん知らんがな!」ですよね。まずは、謝りましょう。相手からミスした理由の説明を求められない限り、言い訳してはいけません。目の前にあるのは、あなたがミスをしたという事実だけなのです。ましてや、「私は発達障害だから」などと開き直ることは絶対にしないでください。

悲しいかな、発達障害の人は言い訳をしがちだ、と認識している人も世の中に少なからずいます。人一倍がんばって、ミスしないでいられた日は自分を目一杯褒める。ミスしたときは、言い訳しないでグッと我慢。ミスしてしまったときは、素直に謝るほうが確実に信頼される人間になれます。 

 

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