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かつて55歳定年が主流だった...「70歳定年時代」目前のキャリア設計とは

PHPオンライン衆知 / 2025年1月27日 11時50分

水野臣介著『人材ビジネス』

定年退職後も仕事を探すことは一般的になっています。2025年4月からは65歳までの雇用確保が完全義務化され、定年間近になってから慌てて老後について考え始めるのでは遅いかもしれません。長い人生、キャリア形成はいつから考えたらいいのでしょうか?

「人生100年時代」で重要なキャリア設計の考え方について、20年以上にわたり人材ビジネス業界の変遷をウォッチし続ける水野臣介氏が解説します。

※本稿は、水野臣介著 『人材ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)より一部抜粋・編集したものです。

 

変化する「再就職支援」という言葉の意味

「再就職支援」という言葉の持つ意味合いが、以前とは変わった気がしています。

再就職支援事業が人員削減のシステムとして機能していた時代もありましたが、現在の再就職支援は、定年後の第2の人生において、大きな意味を持っています。

2000年代初頭のITバブル崩壊、そして2008年のリーマン・ショックを発端とする世界的金融危機。当時のミドル世代は、まもなく定年を迎えようとしています。

日本の老齢基礎年金は原則として65歳になると需給できますが、60歳に繰上げて「繰上げ受給」をする人もいれば、75歳まで繰下げて「繰下げ受給」をする人もいます。年金受給と並行して仕事を続ける人もいれば、「貯金をはたいて商売でも始めるか」と一念発起する人もいます。ちなみに私は後者です。地元でカレーうどん屋を開業したいというささやかな夢があります。これが「第2の人生」と呼ばれるライフステージです。

第2の人生に関する意識は昭和・平成と令和で大きく変化しました。

1986年、55歳定年が主流だった中、60歳定年の努力義務が定められ、1998年には義務化。2025年4月からは「65歳までの雇用確保」が完全義務化されます。これにより、企業には、定年を超えても働き続けたいと希望する従業員すべてを65歳まで雇用することが求められました。この背景にあるのは、労働人口の減少です。

日本では少子高齢化が進み、労働人口が減少しました。若い世代の労働力だけでは経済を維持するのが難しくなったのです。そこで政府は、高齢者に引き続き、労働市場に残ってもらおうと考えました。また、年金支給年齢の引き上げにより、多くの高齢者が退職後の生活資金のために、継続して働く必要が出てきました。雇用の継続が保証されれば、経済的に安定した生活を送ることができます。

 

人材ビジネス会社が退職後の再就職をサポート

以前に比べると、健康で活動的な高齢者がかなり増加しています。退職後も社会とつながっていたいと考える人も多いようです。こうした意欲を活かすことで、企業も労働力不足を補うことができます。一方で、企業には人件費をはじめ雇用継続に伴うコストが発生します。そのため厚生労働省は、「65歳超雇用推進助成金」などの制度を設けて高齢者の継続雇用を推進しています。

「70歳定年時代」の到来はそれほど先の話ではないでしょう。総務省の資料によると、現在、60代の半数以上が働いており、70代前半で約3割、70代後半では約1割の人が働いています。このデータからも、定年後の仕事を探すことは一般的であることがわかります。

とはいえ、大企業で雇用継続される人は別として、引き続き働き続けるために、仕事探しから始めなくてはいけない人たちは大変です。60歳を超えて新しい仕事に就くまでに、1年以上かかったという話も聞きます。ここで登場するのが人材ビジネス会社です。再就職という第2の人生のスタートをサポートするため、人材派遣や人材紹介を駆使してその人達に適したマッチングを実現しています。

ちなみに、定年後に未経験分野へ転職する場合に求人の多い職種は、介護スタッフ、警備員、清掃員、施設の管理人、タクシー・ハイヤー・バス運転手、軽作業・組立作業員、ICT(情報通信技術)支援員などです。

 

60歳以降の理想の働き方

今まで培ってきたノウハウを継続して活かすことで、よいスパイラルが生まれているものもあります。その例として、業界大手のリクルートスタッフィングの調査結果をご紹介します。

リクルートスタッフィングは、60歳以降における経験やスキル活用について分析するため、60歳以上の派遣スタッフを対象に、働き方に関するアンケートを実施しました。

アンケートの結果、60歳以降にこれまでの経験・スキルを活かし、時給1750円以上の事務職やIT職などの専門職の仕事で働くプロフェッショナル人材は、5年間で約5.14倍と増加傾向にあることがわかりました。

また、「理想とする働き方」で最も多かった回答は「自分のスキルを活かせる働き方」でした。「これまでの経験や専門スキルを活かして働いている」と回答した人は約83%。約61%が「自らの専門スキルを活かして職場に貢献できたと感じている」と回答しています。

「自身の専門スキルが、新たな価値創出につながった経験がある」と回答した人も約15%にのぼりました。具体的には、プログラミングスキルを用いたシステム開発やAI技術の活用、RPAの導入、IT環境の整備をはじめ、業務効率化フロー策定、データベース構築、海外メンバーとのコミュニケーションフローの改善などが挙げられました。

スキルアップに対しては約61%が意欲を示していて、同社の60歳以上の派遣スタッフは、最新技術や専門スキルを駆使して活躍していることが明らかになりました。

定年退職後も健康で活発に働き続ける人たちは、これからますます、社会の原動力となるでしょう。

 

「人生100年時代」キャリア形成はいつから考える?

平均寿命が延びたことにより、「100歳まで生きるのが当たり前」という時代の到来も現実味を帯びてきました。「人生100年時代」の働き方はどのようになるのでしょうか? 何となくイメージできるのは、前時代のように「バリバリ、ガッツリ働いて余生をひっそりと過ごす」という働き方の反対バージョン。つまり、「健康で長く働く。ただし、残業せずに適度に働く」。そして、「リスキリングなどで働きがいを見つける」というのもテーマのひとつでしょう。

こういった新時代の到来に伴って必要になるのが、生き方や価値観の変換。しかし、これはとても大変なことです。私自身に置き換えてみても、深く染み込んだ昭和教育を払拭するには相当な時間がかかりそうです。

100年という長い時間をどのように使うべきか。大半の人たちが、50代を目前に慌てて老後について考え始めます。

ここでは、主に40代以降の働く世代を対象とした「キャリアデザイン研修」をご紹介します。

これは、従業員一人ひとりが自身のありたい姿や組織環境を踏まえ、キャリアについて考えることで、具体的な行動につなげるためのキャリア開発プログラムです。

目指す姿が明確になることで、今自分がすべきことも見えてきます。この機会を持つことにより、仕事にいっそうやりがいを感じられるようになり、直接的な行動変容につながるのです。結果として、従業員の意欲喚起や満足度アップ、離職予防など、多くの効果が生じます。つまり、キャリアデザイン研修は、従業員のみならず企業側にもメリットがあるのです。

 

世代ごとに対応したキャリア設計

キャリアデザイン研修では、「従業員個人の課題」と「企業側からの期待」という、2つの側面から考えていく必要があります。世代ごとに、置かれている立場や定年までの期間が異なるため、それぞれに対応した内容にする必要があります。

例えば40代の場合は、同年代の間でも役職や給与に差が出始めます。

キャリアデザイン研修では、自身の特性や強みを改めて理解し、今後のキャリア形成について考えていくことが必要です。広い視野を持ち、可能性を拡げていく意識が重要になります。

50代になると、ますます現実的に定年を視野に入れて考えるようになります。

企業によっては、一定の年齢に達するタイミングで役職を退く役職定年を設けているところもあるでしょう。定年や役職定年に向け、これまでのキャリアを振り返り、それを踏まえたキャリア形成をしていきます。

特にこの年代では、両親の介護や子どもの進学などによって環境的にも経済的にも影響が生じやすくなります。そういったライフイベントも想定しつつ、より具体的に考えていくことが重要です。

50代後半では、定年を迎えた後のキャリアについて考えていきます。再雇用や地域活動への参加など、多くの選択肢があります。学びへの意欲や社会貢献の視点を持つことで、その選択肢はさらに広がります。多くの人が、60歳を過ぎても体力的・気力的にまだまだ充実している状態です。これまで培ってきた技術や知識を企業や地域に還元し、活躍できる場はたくさんあります。

「人生100年時代」の今、若いうちから長期の視点を持ち、キャリア設計していかなければいけません。人生という大海原を安全に航海するためには、人材ビジネス会社に伴走してもらうことも、選択肢のひとつとしておすすめです。

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