「人の言葉に左右されないこと」女性起業家が55年で到達した、世界17カ国を跨ぐ成功
PHPオンライン衆知 / 2025年1月15日 11時50分
1970~80年代に世界的なブームとなったダンスフィットネスを牽引し、当時は全米2位のフランチャイズにまで成長した「ジャザサイズ」。「ジャズダンスとエクササイズ」を掛け合わせた「ジャザサイズ」のブームは一過性に終わらず、創業55年を迎える今も世界17カ国、約9万人の会員を抱え、累積売上高20億ドルを超える企業へと発展しています。
そんなジャザサイズの創業者であるジュディ・シェパード・ミセットさんが近著『JAZZERCISE ジャザサイズ物語』(かんき出版)を提げ、来日したのを機にインタビューを行いました。起業家のパイオニアとして、また一人の女性として2回に分けてお話を伺いました。(本記事は後編です)
<前編はこちら>
止まらずに動き続けることが重要
――1980年代ではまだ高価だったビデオカメラやテープレコーダーなど、思い切った初期投資をして最先端のテクノロジーを取り入れられたこともジャザサイズが発展した要因のひとつかと思います。もしも、電子機器やSNSやYouTubeなどのツールが発達している現代に起業したのであれば、当時の倍のスピードで発展したと思いますか?
ジュディさん:いえ、答えはノーです。たとえあの時代にSNSがあったとしても、2倍のスピードで成長したとは思いません。なぜならば、SNSは多くの人に広めるという点においては優秀かもしれませんが、逆に言うと多くの人から真似をされてしまうというデメリットがあります。そうなると、私が考案したジャザサイズもフレッシュさがなくなってしまい、廃れてしまった可能性もあると思うんです。
私たちは今のように競争したり真似をしたりというのではなく、本当にオーガニックな形で成長できたので、人々が模倣できないものにまで成長できたのだと思います。
――『JAZZERCISE ジャザサイズ物語』の原書は2019年に発売されましたが、その後、世界的な新型コロナウィルスの流行がありました。その影響はありましたか?
ジュディさん:はい、コロナの影響は当然ありました。スタジオに通えるお客様が大幅に減ってしまったんです。ですが、そのときには、経営チームに加わっている娘のシャナが大きく貢献してくれました。
スタジオレッスンを受けに来られないお客様のために、各地のインストラクターたちのレッスンをオンラインで受けられる「ジャザサイズオンディマンド(JOD)」というストリーミングのプラットフォームを確立することができたのです。
それによって自宅でもジャザサイズが継続でき、コロナウィルスの流行が収束した後に改めてお客様が私たちのスタジオに戻ってくださると共に、JODを活用する方も増え、両方が非常に効果的に作用しています。このことからも、やはりイノベーションを続けること、止まらずに動き続けることがとても重要だと感じています。
すべてを諦めずに生きるには?
――ここからは女性としての話も伺いたいと思います。結婚、育児、仕事と、あらゆるものを手に入れているように思えますが、ジュディさんのようにすべてを諦めずに生きるためにはどうしたらいいでしょうか? 私たちでも取り入れられるようなことがあれば教えてください。
ジュディさん:まずは、自分のことを信じること、そして、絶えず誠実に行動することでしょうか。そのなかで自分の直感のようなものを信じて行動するということが大切だと思います。
ただ、もちろんずっと良いことばかりではありませんよね。なので、そういう時も前向きにポジティブな考えを持ち続けることも大事です。
それから、周囲からどう思われようと恐れず、人の言葉にあまり左右されないこと。ガッツを持って粘り強く、しっかりとした芯を持つこと。そして逆らえない部分もありますから、多少、自然に身を任せることも重要ですよね。そして、とにかく優しさを忘れないでいたいですね。
――今の日本では晩婚化が進んだり、出生率も低かったりと、女性が自分の人生を切り開くのに大きな負荷がかかっているのですが、ジュディさんが女性として苦労されたこと、いわゆるガラスの天井というものを感じられたことはありますか。
ジュディさん:もちろん感じたことがあります。やっぱり男性から、「あなたは女性だからできないよね」と言われるような壁に突き当たることは多々ありました。書籍でも、初期のころに市から依頼されたダンスクラスの仕事の報酬をもらうのに苦労したエピソードに触れていますが、ほかにも、女性はローンが組めないという時期もあったんです。
まあ、私たちが断られたその銀行はその後に倒産し、私たちは55年続いているという結果になっているので、人生はどうなるかわかりませんね。
――ジュディさんは、ジャザサイズをはじめられてから実に55年間、今でも現役でダンストレーナーとして活躍されています。若さやパワフルさを保つ秘訣はありますか?
ジュディさん:遺伝的なものもありますが、あとは日頃の態度や行動だと思っています。一番大事なのは、止まらないで自然と動き続けること。実はシンプルなことですが、なかなか継続ができない人が多いので、それを続けることが大事だと思っています。もちろん、お金を少しかけながら、肌の手入れなどをすることも必要ですよね。
――現在は、お嬢さんとお孫さんと三世代でジャザサイズを経営されていますが、事業継承はスムーズでしたか?
(右からジュディさん、孫のスカイラさん、娘のシャナさん)
ジュディさん:はい、まずは娘にジャザサイズを強要しなかったということが逆に良かったのかもしれません。小さなころからジャザサイズに触れていた娘のシャナは、いったんジャザサイズから離れていたのですが、その後、実は私に内緒でトレーニングを再開していたようなのです。ある日、私がフランスにいるときにシャナから電話で「私、ジャザサイズのインストラクターに合格したよ」と打ち明けられたときには驚きました。
孫娘のスカイラもジャザサイズインストラクターの試験を受けられる18歳のときにインストラクター資格を取得したのですが、そのときも私はサプライズで知りました。私にとっては非常にありがたいことで、彼女たちが事業を引き継いでくれていることに日々、本当に感謝しています。
――それは最高のサプライズですね。書籍の後半では、お母様の最期に立ち会えなかったことや、乳がんサバイバーでいらっしゃること、息子さんを早くに亡くされてしまったことなど、プライベートなことにも触れられていました。ですが、そういった時にも、NPOを発足するなどポジティブに行動されているのが印象的でした。
ジュディさん:もちろん、辛いこともありました。けれども、すべて悲観的になるのではなくて、こういうことにもきっと理由があったのだろうと自分で受け入れる努力をして、少しずつポジティブに進んでいこうと考え、強く進み続けることができたと思います。
――現在も現役で活動され、やりたいことをすべてやりきってきたような印象もありますが、今後の夢ややりたいことはありますか?
ジュディさん:まず、私のビジネスの夢は、幸運にもこの55年間続いたジャザサイズがさらに55年続いてくれることです。そのためにもやはり、私たちと同じ考えを継承する仲間が必要ですし、もうすでにそんな仲間が揃っている自信はあります。
プライベートでの夢は、主人と愛犬のポンチと一緒に、キャンピングカーで美しい自然を見ながらアメリカを横断することですね。
――とても素敵な夢です。最後に、これからビジネスを始めようと思っている日本の読者に向けて、力強いメッセージをいただけますか。
ジュディ:そうですね、ぜひ皆さんにも何か自分がインスパイアされる、すごく興味を持てるものを見つけて続けていただきたいです。とにかく止まらないで、自分なりの動きで進み続けてください。
――本日は、非常に貴重なお話をありがとうございました。
<前編はこちら>
【ジュディ・シェパード・ミセット】
世界最大のダンスフィットネス・フランチャイズ会社ジャザサイズの創業者兼会長。世に先がけてフィットネスとエクササイズの大切さを提唱し、トップ・ウーマン・アントレプレナーのプレジデント賞、フィットネス栄誉の殿堂で4回の殿堂入り、女性議員とエンパワーされた女性のための全国基金のアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー賞をはじめ、数多くの栄誉あるビジネスの賞を受賞してきた。世界的なベストセラーになった『Jazzercise: A Fun Way to Fitness』と『The Jazzercise Workout Book』に続き、3作目である本書で初めてジャザサイズの55年にわたる巨大な成功の歴史をふり返り、その裏にある秘密の数々を明かしている。
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