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静かで美しい「冬の京都」 在住ライターが教えるおすすめスポット

PHPオンライン衆知 / 2025年1月29日 12時0分

冬の京都

京都旅といえば、春の桜、秋の紅葉に注目が集まります。けれども、人が少なくゆったりと旅を楽しめる「冬の京都」も実はねらい目なのです。冬だからこその魅力をご紹介します。

※本稿は、月刊誌『PHP』2025年1月号より、一部編集・抜粋したものです。

 

人が少なくて静か

観光都市・京都には、今や世界中から観光客が訪れます。清水寺や嵐山は、一年を通してにぎわう場所になりました。とはいえ、観光シーズンの春、秋に比べると、冬の京都は人が少なく静か。有名寺院や世界遺産も、並ぶことなく入れ、じっくり観賞できるはずです。

お寺の縁側に座って庭を眺めたり、どこまでも続く梅並木をゆったり散策したり。ほかの季節では得られないだろう、充実した時間を過ごせます。

 

特別拝観を楽しむ

閑散期だからこそ、あえて公開される名所や寺社もあります。建物が傷んだり、トラブルが発生したりという不安要素が少ないからです。なかには何十年ぶりに秘宝を公開する神社仏閣もあり見逃せません!

2025年のキャンペーン「京の冬の旅」非公開文化財特別公開のテーマは、「世界遺産登録30周年」と「洛陽三十三所観音霊場再興20周年」。国宝級の建物や庭、文化財を拝見できるのは大きな楽しみです。

 

冬の食材と温かい美食

冬の京都には、この時季ならではの食材もたくさん登場します。たとえば、聖護院だいこんやえびいもといった京野菜、冬に旨味を増す寒ぶりや蟹、ふぐなどの魚介類。さらには、冬の品書きにだけ並ぶ、鍋料理や蒸し物ものなどの温料理も多彩です。名所めぐりや買い物で冷えた体を、ふかふかと湯気があがる料理で温める。まさに″ほっこり”する瞬間。この幸せは、何物にも代えられません。

 

凜と心が調う冬の名所

美術館や庭苑、大河ドラマで話題になった名所も、冬なら落ち着いて観賞できます。この冬は居るだけですっと心が静まる、特別な場所へ。

 

●廬山寺(ろざんじ)

廬山寺

――紫式部ゆかりの寺へ

NHK大河ドラマ「光る君へ」で話題を集めた紫式部の邸宅址といわれる寺。境内の源氏庭は紫式部が生涯の多くを過ごした場所。『源氏物語』に登場する花散里の屋敷も、このあたりを想定したとか。

住所:京都市上京区北之辺町397 拝観料500円

 

●梅宮大社

梅宮大社

――のんびり梅を楽しむ

市街地から離れ、のどかな空気に満ちた社です。つつじやあじさい、紅葉など一年を通して観賞できます。2月下旬以降に見ごろを迎える梅は約35種と多彩。酒造・授子・安産の神が御祭神です。

住所:京都市右京区梅津フケノ川町30 神苑入苑料600円

 

●京都国立博物館 平成知新館

京都国立博物館 平成知新館

――平常展示をじっくり

2014年に開館した「平成知新館」。日本の伝統建築をコンセプトに取り入れた空間に、絵画や彫刻のほか、工芸や書跡、考古なども展示。冬の光が差し込むグランドロビーはほっと和める場所です。

住所:京都市東山区茶屋町527 観覧料700円

 

2025年の「京の冬の旅」で秘められた美に出合う

●建仁寺 西来院

建仁寺 西来院  天井画「白龍図」
建仁寺 西来院  天井画「白龍図」

「西来院」は建仁寺の塔頭(たっちゅう)で開基は蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)、応永年間に創建されまし
た。方丈の蘭溪道隆坐像のほか、天井画が「白龍図」、枯山水庭園「峨眉乗雲(がびじょううん)の庭」、庭園「九華青蓮(きゅうかしょうれん)」などを特別公開。

住所:京都市東山区小松町590
https://seiraiin.com/

 

●頂法寺(六角堂)

頂法寺(六角堂)本堂外観
頂法寺(六角堂)本堂外観

華道家元池坊拠点であり、いけばな発祥の地として知られる寺。本堂が六角形であることから「六角堂」と呼ばれます。六角堂の内陣、如意輪観世音菩薩像(秘仏)の御前立(おまえだち)、毘沙門天立像などを公開。

住所:京都市中京区堂之前町248
https://www.ikenobo.jp/rokkakudo/

 

●龍安寺 仏殿・西の庭

龍安寺「石庭」
龍安寺「石庭」(方丈庭園)

室町時代の有力者、細川勝元が宝徳2年(1450年)に創建。故エリザベス2世のほか数々の著名人が絶賛した石庭が有名。仏殿の天井龍図、釈迦如来像、回遊式庭園「西の庭」、細川廟などを公開。

住所:京都市右京区龍安寺御陵ノ下町13
http://www.ryoanji.jp/top.html

 

●天龍寺 祥雲閣・甘雨亭

天龍寺 曹源池庭園
天龍寺 曹源池庭園(写真提供:天龍寺)

足利尊氏を開基とし、夢窓疎石を開山として暦応2年(1339年)に創建された臨済宗天龍寺派の大本山。表千
家の残月亭写しの茶室「祥雲閣」、五畳半台目の茶室「甘雨亭」の特別公開のほか、曹源池庭園も拝観できる。

住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
https://www.tenryuji.com/

 

※公開期間など詳細は「京の冬の旅」https://ja.kyoto.travel/specialopening/winter/をご確認ください

 

冬の美味で朝から心身を養って

旅を満喫するためには英気を養う朝食も大切です。湯葉尽くしの御膳か京都らしい玉子サンドか。あなたはどちらがお好みですか?

 

●ゆば料理 東山ゆう豆

――美山の自然に育まれた滋味を朝食で

京都美山の大豆と水で湯葉をつくる「京・美山ゆば ゆう豆」の直営店。早朝から工房でつくるできたての湯葉をたっぷり使った「朝ごはん(1800円)」が評判です。季節野菜の石蒸し、おばんざい3種、湯葉たまごはんなど豆乳と湯葉尽くし。11時からは湯葉を使った昼の御膳、18時からは夜の湯葉コース、20時以降は湯葉を使ったアラカルト料理も。豆の味わいが生きる滋味豊かな湯葉を一日の英気にして。

住所:京都市東山区祇園町南側570-218
TEL:075-532-1019
営業時間:7:30 ~ 9:30、11:00 ~ 14: 00、18:00 ~ 19:30、20:00 ~ 21:00(いずれもラストオーダー)木曜休
https://higashiyamayuuzu.com/

 

●喫茶アマゾン

――レトロ喫茶のモーニングは多彩

三十三間堂など東山の名所からも近い、1972年開業の喫茶店。パンメニューが豊富で、朝から午後まで訪れる客が引きも切りません。

モーニングは、オーソドックスなトースト(ドリンク料金に+100円)からホットケーキまで4種類。人気の「ゆで卵ときゅうりのサンド(+300円)」は、ふんわりとしたゆで卵にシャキッとしたきゅうりが寄り添うシンプルさが要かなめの一品。毎朝でも食べたくなります。

住所:京都市東山区下堀詰町235
TEL:075-561-8875 
営業時間:7:30 ~ 15:00(ラストオーダー)無休

 

冬に食べたいあったか料理

冬の京都は美味だらけ。寒さのなか甘みを増した冬野菜、蟹やすっぽんなどご馳走も。冷えた体を癒やすあったか料理を紹介しましょう。

 

●東寿し(あずまずし)

――旨味が凝縮したすっぽん小鍋

京都国立博物館から徒歩圏内。「東寿し」の魅力は、一品料理も割烹並みに充実していること。お造りや焼き物
はもちろん、冬なら小鍋やふぐ料理、蟹料理も。寒い日に味わいたいのが熱々の「すっぽん小鍋(1800円)」。
濃厚で独特な旨味が体に染み入ります。

住所:京都市東山区正面町299
TEL:075-561-5471  
営業時間:12:00 ~ 21:00 木曜、第1・3水曜休

 

●UDON MAIN(ウドンメーン)

――うどん好きの胃袋をわしづかみ

京都の骨董街・新門前通に、2018年に開業したうどん専門店。和食の出汁に世界中のスパイスを組み合わせた新しいうどんが話題です。看板メニューは「ペッパー燻製鯖うどん(1340円)」。鯖の旨味にグリーンペッパーの爽快な辛みが混ざり合います。

住所:京都市東山区西之町201-1
営業時間:10:30 ~ 15:30、17:00 ~ 22:00(日曜は~ 20:00)※ 1時間前ラストオーダー
火曜休、不定休あり
https://www.udonmain.com/

 

●お酒と食事 うり

――やっぱり冬はおでんが一番

繁華街の四条河原町からすぐの路地奥にある料理屋。おまかせなら前菜盛り合わせやお造り、天ぷらなど5品。アラカルトでも季節の料理や定番のおでん(250円~)を味わえます。淡い色の出汁でじっくり炊いた大根、豆腐
は味がしっかり染みて絶品です。

住所:京都市下京区足袋屋町317-15
TEL:075-344-7899
営業時間:17:00 ~ 22:00 月曜休
https://www.instagram.com/uri_ayanokoji

 

宿泊がより快適に温泉、サウナのあるホテル

旅館タイプの宿泊施設だけでなく、温泉やサウナを備えたホテルが増えました。泊まるなら、このホテル!

 

●バンヤンツリー・東山 京都

――天然温泉やスパで旅の疲れを癒やす

アジアの高級ホテル「バンヤンツリー」が日本初上陸の地に選んだのは、京都・東山。天然温泉の源泉を有し、温泉付きの客室や温泉を活用したスパも。スパの各部屋にはミストサウナが完備。ウェルネスな滞在で旅をより快適に。

住所:京都市東山区清閑寺霊山町7
https://www.banyantree.com/ja/japan/kyoto

 

●ウェスティン都ホテル京都

ウエスティン京都SPA華頂 男性半露天風呂

――東山観光の拠点にしたい

2021年にリニューアルして、天然温泉を備えました。スパ「華頂」は、2100㎡という広大さ。優美な庭園と一体になった半露天風呂は、近くにある琵琶湖疏水の水路閣をイメージした風雅なデザインです。

住所:京都市東山区粟田口華頂町1
https://www.miyakohotels.ne.jp/westinkyoto/

 

●四条河原町温泉 空庭テラス京都

四条河原町温泉 空庭テラス京都

――京の風景を望み、天然温泉に抱かれる

京都の中心地・四条河原町に2022年に開業した天然温泉が自慢のホテルです。東山と京都の町を一望できる最上階の露天風呂や、足湯を備えたルーフトップバーは、非日常を実感できると評判です。

住所:京都市下京区河原町通四条下る 2丁目稲荷町324
https://soraniwa-hotel.jp/

 

●天然温泉 花蛍の湯 ドーミーインPREMIUM 京都駅前

ドーミーイン男性露天風呂

――京都駅前で温泉と豪華朝食を

京都駅中央口から徒歩約3分の便利さ。大浴場には、大阪から運ばれた天然温泉が。海鮮丼や宇治抹茶玉露入りの冷茶そば、和洋の小鉢料理がそろったボリューム満点の朝食も人気です。

住所:京都市下京区東塩小路町558-8
https://dormy-hotels.com/dormyinn/hotels/kyoto/

 

この冬おすすめしたい「心と体に効く旅コース」

心と体に効く旅コース

あこがれの京都! あれこれ欲張って足を延ばしたいところですが、冬の旅は体を休めるのもポイントです。ゆっくり散策、ゆっくりホテルステイ。おいしい料理は必須です!

 

\年末年始の行事/
12月31日 除夜の鐘 知恩院など
12月31日 をけら詣り 八坂神社
1月3日  かるた始め式 八坂神社
1月4日  蹴鞠はじめ 下鴨神社
1月8日~12日10日 ゑびす大祭 京都ゑびす神社
1月12日 大的大会 三十三間堂
1月16日 武射神事 上賀茂神社
2月25日 梅花祭 北野天満宮

 

\特別拝観リスト(1月10日〜3月18日)/

●清水寺 随求堂
随求堂/本尊「大随求菩薩 坐像」特別御開帳、堂下の「胎内巡り」

●平等寺(因幡堂)
「日本三如来」の一つに数えられる薬師如来立像(重文)、釈迦如来立像(重文)、如意輪観音坐像(重文)、2体の十一面観音菩薩像、寺宝特別展示

●東寺五重塔
五重塔(国宝)初層内部公開、金堂(国宝)/薬師三尊像(重文)、講堂(重文)/21 体の立体曼荼羅

 

※情報はすべて2024年10月現在のものです。料金は一部を除いて税込価格です

 

【中井シノブ】
京都在住ライター。情報誌編集長を経てフリーに。趣味は、外飯、外酒、猫とまったり。『あまから手帖』(クリエテ関西)で京都コラムを連載中。

 

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