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「親の介護」と「自分の家族」どっちを選ぶ? 事前に考えておくべき優先順位

PHPオンライン衆知 / 2025年1月30日 12時0分

親の介護

親の介護と自分の家族が倒れるようなことが同時に起こったら、どちらを優先するべき...? 親の介護がはじまる「前」に考えておくべきことについて、介護作家の工藤広伸(くどひろ)さんの書籍『老いた親の様子に「アレ?」と思ったら』よりご紹介します。

※本稿は、工藤広伸著『老いた親の様子に「アレ?」と思ったら』(PHP研究所)を一部抜粋・編集したものです。

 

自分の家族を優先する?

【くどひろ】ところで、Kさんは「親孝行したい」と思っていますか?

【K】それは、まぁ......。ここまで育ててくれたことに感謝していますし、子どもが生まれてから親のありがたさがよくわかったので、いつかはしたいと思っています。

【くどひろ】「いつかは」ってことは、今のところできていないってことですね。

【K】そうですね......。目の前の仕事や子どものことで毎日いっぱいいっぱいで、なかなか親のことまで考える余裕がなくて......。

【くどひろ】しかも、そこに親の老いの不安も出てきた。

【K】そんな感じになっちゃってますね(汗)。

【くどひろ】わたしも親と離れて暮らしているので、Kさんと同じような状況でした。もう1つ質問してもいいですか? 老いた親と、今いっしょに住んでいる自分の家族が同時に倒れたとして、どちらを優先しますか?

【K】えっ! そんな難しい質問しないでくださいよ......。

【くどひろ】急にすみません。でも、今後、そんな究極の選択をしないといけない場面もあるかもしれないので聞きました。

【K】うーん......。そのときになってみないとわかりませんが、自分の家族かな......。でも、親のことをあとまわしにすると、それはそれで後悔しそうです。

【くどひろ】難しい選択ですよね。ちなみに、わたしは、自分の家族を優先して、親はその次と決めています。

【K】でも、くどひろさんは12年以上も、お母さんの介護をしているんですよね? わたしには、お母さんを優先しているように思えますが。

【くどひろ】実は、岩手の母の遠距離介護と、東京の妻の入院が重なってしまったことがあったんです。どちらも同じように大切にできたらベストですが、自分の体は1つしかないので、そのときに妻を1位、母を2位と決めました。

【K】たしかに、タイミングによっては、選ばないといけない場面もあるかも......。

【くどひろ】実際、そのときは、岩手の実家と妻の病院をタイミングよく行き来できたのでよかったんですが、それからは、もしものときの優先順位を意識するようになりました。最後に、もう1つ、質問してもいいですか? もしKさん自身が倒れたとしたら、老いた親と自分のどちらを優先しますか?

【K】それは自分自身ですよ。倒れたら、親の面倒はみられませんし。

【くどひろ】その気持ちを忘れないでくださいね。老いた親のことを考えるのも、面倒をみるのも、すべて自分のためですから。

【K】えっ、自分のため? 親のためではなく?

 

介護は親のためではなく、自分のためにやる

【くどひろ】わたしは、全国で介護の講演会をやらせていただいているんですが、その最後に必ずお伝えしているメッセージがあるんです。それが、さっきKさんにちらっとお伝えした「介護は親のためではなく、自分のためにやる」という言葉です。

【K】老いた親を心配したり、介護したりするのは、親のためだと思います。それが、なんで自分のためになるのか、よくわからないのですが......。

【くどひろ】これから説明していきますね。わたしが12年以上、遠距離介護を続けられているのは、「自分のため」と考えているからなんです。「親のため」と考えていたら、とっくに心が折れていたと思います。

【K】親の介護が「自分のため」......?

【くどひろ】はい。そもそも、わたしが親の介護にかかわることを決めたいちばんの理由も、自分が後悔したくなかったからなんです。

【K】自分が後悔したくない......ですか。

【くどひろ】そうです。いつまでも気持ちを引きずる自分の性格からして、たとえ東京で仕事をがんばって成果をあげたとしても、「自分は親の面倒をみなかった」「介護から逃げた」となったら、死ぬまで後悔し続けると思ったんです。

【K】なるほど......。

【くどひろ】岩手にいる祖母が子宮頸がんで倒れて、同時に母の認知症が見つかったとき、2人を介護できるのは、東京にいるわたしか、地元の岩手にいる妹のどちらかでした。だいぶ前に家を出ていた父には頼れなかったので。

【K】なかなかハードな状況ですね......。

【くどひろ】それで、妹に「自分が親の面倒をみる」と宣言したんです。もちろん、妹にも手伝ってもらっていますが、家族側の介護の窓口、いわゆる介護のキーパーソンは、ずっとわたしがやっています。

【K】えっ! 地元にいる妹さんではなく、東京のくどひろさんが!?

【くどひろ】はい。親のことを岩手にいる妹に丸投げしたら、一生後悔すると思ったので。

【K】でも、それだけの理由で「自分が親の面倒をみる」と言えますか!? そのとき、くどひろさんには、自分の家族も仕事もあったわけですよね? しかも、岩手と東京で超遠距離です。わたしなら、そんな思い切ったことはできないし、きょうだいが地元にいるなら任せたくなると思います......。

【くどひろ】もちろん悩みましたが、実は、もう1つ理由があったんです。そっちは、すごくリアルな理由ですよ。

【K】どんな理由ですか?

【くどひろ】1日も早く、そのとき勤めていた会社を辞めたかったんです(笑)。祖母と母のことが同時に起こったとき、わたしは仕事でも大きな悩みを抱えていまして。

【K】急に現実的な話になりましたね......。

【くどひろ】はい(笑)。実は、そのとき転職して9カ月しか経っていなくて、しかも前職の上司の紹介で入社したので辞めづらかったんです。でも、介護が理由なら「まぁ、仕方ないか」と思ってもらえるかなと考えて......。

 

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