喋りが苦手なのに営業職に転職して撃沈...思わず涙が出た「トップセールス」からの一言
PHPオンライン衆知 / 2025年2月12日 11時50分
実は「強み」というのは、「弱み」と表裏一体になっているもの。ベストセラー『適職の地図』の著者・土谷愛さんは、ずっと「自分には強みなんかない」と信じて生きてきたと言います。
「強み」の定義とは、一体なにか、どうすれば「強み」に気づいて活かすことができるのか。土谷さんの著書『適職はどこにある?』より、コンプレックスが強みに変わった実体験を紹介します。
※本稿は、土谷愛著『適職はどこにある?』(大和出版)を一部抜粋・編集したものです。
「愛さんは、喋ることより‟聞くこと”のほうが得意なんちゃう?」
既存客へのルート営業から、まったくの新規客への営業職へ。意気込んで転職したものの、もとより喋るのが苦手だったわたしです。見事なまでに撃沈の日々が続きました。
そんなある日、肩を落としてデスクに戻ると、社内一の売れっ子営業マンである先輩が声をかけてきました。
「愛さんは、喋ることより"聞くこと”のほうが得意なんちゃう? 俺はそっちの強みを活かせばいいと思うけどなあ」
困惑するわたしに、先輩は続けます。
「会社でみんなの話を最後まで邪魔せず、真剣に聞いてるよね。人の表情をじっと見て、気持ちを読み取って動いてるように見える。俺もそういう共感力みたいなものがあったらな。気づいてないかもしれんけど、それはきみの才能やと思うよ」
「話を聞くこと」「共感すること」が、わたしの才能?
ガツンと頭を殴られたような衝撃のあと、目の奥からジワっと涙があふれてきました。「これがきみの才能だ」なんて言ってもらったのは、生まれて初めてだったからです。
「強み」の検証。わたしは本当に「聞き上手」?
翌日商談の場で、わたしはためしに「話を聞くこと」だけを意識してみることにしました。
今までのようにプレゼンの台本をがっつり準備するのではなく、一枚の「質問リスト」だけをにぎりしめて......。
さっそくわたしは、お客様である院長にリストからの質問を投げかけます。
「お送りさせていただいた手紙の中で、なにか気になった点はありましたか?」
実はこの商談、事前にお手紙を送ったことで先方から連絡をくださったものでした。いつものように「それでは、さっそくですが弊社のサービスについて〜」と言いたいのを、「今日は検証の場」と自分に言い聞かせて、グッとこらえます。
「きみが自分のところのサービスが好きな気持ちが伝わってきたから、仕事に対して真剣な人は好感が持てるし、話だけでも聞いてみようかと思ったんだよね」と院長。
「それは光栄です。ただ、先生のご著書を拝読して感じたのですが、きっと先生ご自身がお仕事に対して誰より真剣に向き合っていらっしゃるから、私の手紙にもそう感じていただけたんじゃないでしょうか?」と返してみました。
ちょっと無理やり質問を投げすぎたかなと考えていると、院長はポツリと言いました。
「もちろんそうありたいと思ってるけど、実際なかなか周りのスタッフとは温度差があってね......」
なんだか話題が展開しそうです。もしかして、意外といい質問ができたのかもしれない。
準備してきた質問リストを握りしめながら、胸が高鳴りました。
「うちはいいかな」が「契約させてほしい」に変わった日
院長が悩んでいる胸のうちを少しずつ話し始めてくれたのは、そこからです。
大病院を辞めてまで理想の医療をしようと開業したクリニックで、同じ志の仲間が集まらないこと、理想がなかなか叶わずもどかしいこと......。
わたしは、ものすごく驚きましたが、やがて自然と「どうしたら院長の思いがスタッフに浸透するか?」について、真剣に考え始めていました。
うちのサービスで役に立てることはないか、もしくはそれ以外の手段でもなにか情報をシェアできることはないか......と。
ふと、社内で先輩から聞いたことのあった「自社サービスの広告で求人がうまくいった事例」を思い出しました。もしかしたら、このクリニックでも活用できるかもしれない。
当然そんなトーク練習なんてしていないので、ものすごくつたない言葉で、ところどころ言葉に詰まりながらも、ただ伝えたい一心で話しました。
すると、10秒と経たずにこんな返事が返ってきたのです。
「それはいいね。ぜひ力を貸してください。契約の具体的なお話はできますか?」
まぎれもなく、転職して初めての成約が飛び込んできた瞬間でした。
コンプレックスの裏側を意識して見る
わたしがこの体験から学んだのは、「自分の特徴の捉え方」を変えただけで、ときに驚くほど結果が変わるということです。
ずっと「喋るのが苦手」とコンプレックスにばかり目を向けていましたが、それは裏を返せば「人の話をよく聞けること」だったのかもしれない。
「コンプレックスだ」「克服しなきゃ」と思うだけでなく、その裏側で「できていること」を認識するだけで、自分の武器が1つ増えるかもしれない。
そう捉えてみると、その瞬間から、自分の見え方がちょっと変わり始めました。
たとえば、上司との雑談で「今週この案件が山場なんだ」と聞いたとき、わたしはその後のコミュニケーションに自然と気を配っている自分に気づきました。
誰にでも知らず知らずのうちに活かしている「特徴」は必ずあって、ただそれに真剣に目を向けるかどうかが大事なのです。
「強みの種」を育てる
そこから、わたしは自分の「聞く力」を伸ばすため、いろんなことをやってみました。
そのすべてを記録する「聞く力」特訓手帳まで作りました。
まず、商談の前には見込み客ごとに「質問リスト」作りを徹底します。
商談が終わったら、1つひとつの質問への反応を忘れないうちに手帳にメモ。朝起きてから寝る前まで隙あらば手帳を開き、反応が良かった質問はどれか、成約につながった話題はなにか、チェックして復習します。
移動中の電車の中では、スマホで片っ端から誰かのインタビュー記事を読んで、プロの「聞き手」の話の引き出し方を学びました。「いい切り口の質問だ!」と思えたものは、これも手帳に書き込みます。
寝ても覚めても「どうしたら相手の話を引き出せるか」ばかり考えているのは、もちろん楽ではありませんでした。でも、ふしぎとすごく楽しかったのです。
きっと「自分で自分の強みを育てる!」的なゲーム感があったんだと思います。
数週間後、ようやくその努力が実り始めました。
それまで何度通ってもダメだった方が、少しずつお話ししてくれるようになったのです!
わたしの中で「売りたい」ではなく「役に立ちたい」気持ちが上回ったとき、偶然にもポンポンと成約が続いたのです。
ポイントは「自分にこんな特徴があったら」から考えるのではなく、まずはどうしたら「自分の特徴を最大限活かせるのか」から考えることだと思います。
とくに「自分にはたいした強みがない」という悩みがある人ほど、この視点を身につけておくといいでしょう。
あなたが、毎日の仕事の中で「やっていて苦ではないこと」はなんですか?
もしかしたらそれが、これから楽しく育てていける、とっておきの「強みの種」かもしれません。
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