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ポイントの歴史から見るポイント経済圏の変貌 ポイント専門家が解説(菊地崇仁)

ポイ探ニュース / 2024年4月20日 9時56分

いよいよ2024年4月22日(月)にTポイントとVポイントが統合する。

筆者も、コラムではポイントの歴史を紹介することも多いのだが、あらためてTポイントとVポイント統合までの道のりを紹介したい。

共通ポイントの歴史

2003年10月に日本初の共通ポイント「Tポイント」が誕生した。当時はTSUTAYA、ローソン、ENEOSが加盟店となっていた。

その後、2010年3月に「Pontaポイント」が誕生。ローソンや昭和シェル石油、ケンタッキーフライドチキンなど14社が加盟店となり、「TポイントとPontaポイントどちらがおトクか」など、大きな話題となった。

Googleトレンドで「ポイント」と検索した際に2010年3月にピークがあり、Pontaポイントのインパクトが大きかったことがわかる。

Googleトレンドで「ポイント」と検索(2004年1月~2011年12月)

Googleトレンドで「ポイント」と検索(2004年1月~2011年12月)

その後、2013年7月に現在のポイント経済圏争いが起こるきっかけとなる「Yahoo!ポイント」と「Tポイント」が統合した。

リアルで最強の共通ポイント「Tポイント」とネット大手の「Yahoo!ポイント」が統合し、リアルでもネットでも最強のポイントが誕生することに。

これがきっかけとなり、ネット最強のポイント「楽天ポイント」が動き出す。楽天ポイントは2002年11月から「楽天スーパーポイント」としてポイントを運用しているが、リアルでもネットでも最強となる「Tポイント」誕生に危機感があったのだろう。

2014年10月に「楽天ポイントカード(当時はRポイントカード)」を発行し、共通ポイントサービスを開始した。Tポイント、Pontaポイント、楽天ポイントの三つどもえとなる。

ケータイ事業者のポイントの歴史

同じころ、ケータイ事業者のポイントも大きく動くことに。

2014年5月にauが新サービス「au WALLET」を開始。auの利用などでたまった「au WALLETポイント」を、Mastercardのプリペイド「au WALLETプリペイドカード(現au PAYプリペイドカード)」にチャージすると、世界中のMastercard加盟店で利用できるようになり、これまで機種変更時にしか利用できなかったようなポイントを一気に使いやすくした。

2014年7月には、ソフトバンクが「ソフトバンクポイント」からTポイントに変更。同じく使い勝手の良いポイントプログラムを採用した。

ドコモも追従。2015年12月に共通ポイント「dポイント」を開始し、3つのケータイキャリアのポイントが使いやすいポイントへと切り替えてきた。

コード決済サービスの誕生

2016年5月に誕生したのが「Origami Pay」だ。スマホ決済サービスの先駆けだろう。その後、「楽天ペイ」が2016年10月にコード決済サービスを開始した。

さまざまな”Pay”が出てくる中、大きく歴史を動かしたのが2018年10月に誕生した「PayPay」だろう。PayPayはソフトバンクとヤフーの合弁会社となり、同年12月から開始した「100億円あげちゃうキャンペーン」などで急成長する。

このPayPay誕生により、ヤフー・ソフトバンクとTポイント陣営に亀裂が入り始める。

2019年8月に、Yahoo!ショッピングでのボーナスポイントとしてたまる「期間限定Tポイント」は、グループ企業のPayPayに切り替わった。

それ以降、Yahoo!ショッピングの通常ポイントであるTポイントは利用され続けたが、2022年4月にとうとうYahoo!ショッピングでのTポイントサービスが終了し、PayPayポイントへと変更。同じく4月にソフトバンクの利用でたまるポイントがソフトバンクポイントへと変更となり、約10年続いたヤフー・ソフトバンク・Tポイントの連携に終止符が打たれる。

大量ポイント発行時代

2015年12月のdポイント誕生により、共通ポイントとしては、Tポイント、Pontaポイント、楽天ポイント、dポイントの争いが激化する。徐々に楽天ポイント、dポイントが勢力を増してくる。

TポイントやPontaポイントは、基本的には加盟店との排他契約となっており、導入している加盟店は他のポイントを導入できなかった。一方、後から参入した楽天ポイントやdポイントはマルチポイントも可とすることでさまざまな加盟店にアプローチする。

dポイントを開始した2015年12月には「DCMX GOLD」からリニューアルした「dカード GOLD」の保有で、ドコモの利用料金に対する10%のポイント還元を開始。2016年1月には楽天市場で「SPU」を開始し、楽天グループの利用状況に応じて、楽天市場でのポイント還元率が最大7倍となるなど、他のサービスで大量にポイントを発行し、そのポイントを元に共通ポイント加盟店に送客する仕組みで一気に追い上げる作戦に出た。

この影響で、TポイントやPontaポイントから、楽天ポイントやdポイントに鞍替えした加盟店も増えていく。大戸屋が2019年4月にPontaポイントから楽天ポイントに切り替え、ドトールコーヒーが同年6月よりTポイントからdポイントに変更し、同年11月にはファミリーマートがTポイントだけでなく楽天ポイント・dポイントのマルチポイントを採用。

劣勢になったTポイント・Pontaポイントのうち、Pontaポイントはauと2020年5月に提携。au WALLETポイントからPontaポイントに変更したことでPontaポイント陣営が息を吹き返した。

共通ポイントの争いには、大量のポイント原資が必要となり、大量のポイント原資がなければ勝てない競争となっている。

このポイント原資を求めた動きがTポイントとVポイントの統合だろう。

弱点を補う提携・買収などが加速

Vポイントは2020年6月に三井住友銀行と三井住友カードのポイントを統合したポイントプログラムだ。その後、SMBC日興証券やプロミスのポイントでもVポイントがたまるようになっている。

2021年2月には、三井住友カードの対象カードを大手コンビニやマクドナルドで利用すると5%還元となるサービスを開始。その後、対象加盟店を増やし、さらにスマートフォンのタッチ決済で利用すると7%還元までアップさせる。

対象のコンビニ・飲食店で大量にポイントを発行するが、Vポイントの知名度はイマイチだ。

一方、Tポイントは知名度はあるが、大量のポイントを発行する原資がない。

TポイントとVポイントが統合すると、これらの問題は解消できる。

大量のポイント原資を得るTポイント(新Vポイント)はau+Pontaポイントのように、一気に復活する可能性が高く、今後のポイント経済圏は、弱点をどれだけ埋めていくかの争いになる。

ドコモはマネックス証券の子会社化やAmazonとの提携などを行ったが、証券とECが弱かったための大型補強だ。銀行サービスの「dスマートバンク」は発表があってから、特に大きな動きはないため、今後、銀行サービスで他社との提携やどこかを子会社化するなどのニュースも出てくるのではないだろうか。

「楽天ペイ」が2024年12月以降、楽天ポイントカードと楽天Edyのアプリを統合するのも、PayPayに対抗するためだ。弱いところをどう強化していくかの戦略となり、楽天ポイントカードと楽天Edyユーザーを取り込んで一気に楽天ペイを成長させる戦略だろう。


1960年ごろに”おまけ”として始まったポイントサービスは、今ではポイントの動きを見れば経済が見えてくるまで成長している。

2024年5月開始のJRE BANKなどもあり、ますますポイント経済圏の競争が激しくなっていきそうだ。

既に、1つの経済圏にまとめる事は難しくなっており、消費者としてはいくつかの経済圏を上手に使う必要が出てきている。

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