中国がインド核攻撃の範囲内に なぜか日本の報道だけが無視

NEWSポストセブン / 2012年4月25日 16時0分

 アジアの軍事バランスが大きく変化しようとしている。インドの射程5000㎞の長距離ミサイルが、中国の主要都市のほぼすべてを射程内に捉えたのだ。そして、2014年の核弾頭搭載。だが、なぜか日本の報道は、北朝鮮のミサイル発射失敗のニュースばかりだ。以下、ジャーナリストの富坂聰氏が解説する。

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 北朝鮮が強硬発射した長距離ミサイルが離陸後わずか数分後に爆発。世界がその失敗を大きく報じてから約一週間後の19日、今度はインドが核弾頭搭載可能な長距離ミサイルの発射実験を行い成功させた。

 ミサイルはインドが独自に開発を進めるAGNI(アグニ)シリーズの最新型で、射程5000㎞のである。今回、洋上に設定された目標物を捉えたことで実戦配備も可能になったとされ、2014年には核弾頭を搭載して配備されるという。

 このニュースはアジアの軍事バランスを大きく変化させる重要な意味を持つため、世界各国が大きく報道し、なかでもオーストラリアやシンガポールをはじめアジア各国の反応も目立ったのだが、日本ではなぜかほとんど無視された。

 現在の射程だと沖縄や九州の一部に届く程度だからという理由だけではないはずだが、北朝鮮のミサイル報道の大騒ぎと比べると首を傾げたくなる反応だ。結局、日本は軍事バランスや安全保障という観点ではこうした問題を捉えていないことの証左なのだろう。

 いずにせよAGNI5の成功の重要性は、何といっても中国に対する牽制という点にある。というのもAGNI5によって攻撃できる範囲が広がったことで、中国の主要都市のほぼすべてがインドからの核攻撃可能範囲に含まれたからだ。事実、今回の実験成功に最も敏感に反応したのも中国である。

 実験成功を受け中国政府は、外交部報道官の「インドは競争相手ではない」というコメントを出しただけで表面上落ち着いた反応を見せたのだったが、反面、メディアは警戒感を剥き出しにした。

 緒についたばかりのインドの核ミサイル戦力について、「中国に比べて大きく劣る」といった論評や、「陸海空の三方面からの攻撃を分析すると、海上からの攻撃能力で大きく見劣りがする」といった戦力比較から、インド政府の意図をけん制して、「インドが西側社会と連携して中国の成長を抑えつけようとする意図を持つのだとすれば、将来、大きな代償を支払うことになるだろう」と大袈裟な言葉で警告する言論も見つかった。

 中国は明らかにこのAGNI5の実験成功の向こうに、アジアの新しい軍事バランスを見始めているのだ。



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