ネット右翼 反・在日だがリアルに在日の人と接した経験なし

NEWSポストセブン / 2012年5月2日 16時0分

「在日韓国人は出て行け」「中国人を殺せ」。ネットで過激な右翼的言論を書き込む「ネット右翼」と呼ばれる人たちは、どんな生態なのか。『ネットと愛国~在特会の闇を追いかけて』の著者であるジャーナリストの安田浩一氏に聞く「ネット右翼のリアル」。3回連続シリーズの最終回をお届けする。(取材・文=ノンフィクション・ライター神田憲行)

 * * *
――ネット右翼は、なぜあんなに刺々しい言葉を投げかけるのでしょうか。

安田:ネット右翼団体「在日特権を許さない市民の会」(通称・在特会)の人たちに共通しているのは過剰なまでの「被害者意識」です。そんな彼らからすれば、在日、障害者、被差別部落出身などいわゆる「社会的弱者」と言われている人たちこそ、守られて優遇させているように見える。だから彼らに対して罵声を浴びせるのです。

 在特会で反・在日といいつつ、リアルに在日の人と接した経験がある人はほとんどいない。その証拠に、在日がほとんどいない地域に支部がいっぱいあるんです。今度山形支部ってできるらしいんだけれど、山形に大きな在日団体があるとは思えない(笑)。

――アメリカに対しては、ネット右翼の意見はどうなんでしょうか。

安田:ほとんど聞かないですね。沖縄で反フジテレビのデモがあったんですが、なんで沖縄でそんなデモをやったのかその不思議さは置いといて(笑)、その中で「全ての県民が米軍基地撤退に賛成しているわけじゃないぞ」ってシュプレヒコールを挙げていました。

 沖縄県民でデモに参加した人がさすがに主催者にクレームを付けたんですが、反応がなかったそうです。彼らにすれば米軍基地に反対するのは左翼、だから自分たちは米軍基地に賛成するという立場なんです。原発問題もそうで、「反原発=左翼」というわけのわからない公式があの人たちの中にある。どうあるべきかというより、反ナニナニという。

――うーん、それだけ聞くとまるで子供の理屈じゃないですか。

安田:そうなんです。だから伝統的右翼、保守派から「在特会は理論がない」という批判が浴びせられています。逆にいうとシンプルだから、不満不安を抱える人たちに訴える力はあるのかなと思う。

「社会主義建設のために」とか「格差社会解消のために」などというありきたりな言葉には、言葉の持つ正しさ以外に力強さを僕は見いだすことができない。でも、「許せない」とか「倒さないといけない」というと、言葉が刺を持って、不満を抱える人に深く突き刺さるんです。

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