EU反対貫いたサッチャーの慧眼 20年以上経て証明された

NEWSポストセブン / 2012年5月16日 16時0分

 今年のアカデミー主演女優賞を獲得したのは、マーガレット・サッチャー元首相を演じたメリル・ストリープだった。退任から20年以上経ってなお、注目され続ける存在であるサッチャー氏。かつてインタビューを行った落合信彦氏が、その慧眼ぶりを解説する。

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 サッチャー氏が在任当時、「欧州統合(EU構想)」についてどういうスタンスだったかを紹介したい。そこにも非常に重要なレッスンが含まれている。

 ヨーロッパが共同の経済圏を構築し、同じ通貨を使い、助け合って発展していこうという構想に対し、サッチャー氏は真っ向から異議を唱えた。「欧州各国が競争によって互いを高めあっていくのはいい。しかし、助け合いではうまくいかない」との主張を貫いた。国営企業を次々に民営化し、自由競争による発展を目指した信念と同じ着想である。

 与党保守党の政治家や財界はサッチャー氏を猛烈に批判。1990年の首相退任へと繋がっていくわけだが、サッチャー氏はダウニング10(首相官邸)を去るその日まで、信念を曲げなかった。目先の人気にこだわる政治家であれば、信念を曲げて首相の椅子にこだわっただろうが、彼女はそれをしなかった。

 この「信念」に対し、歴史は一つの答えを出した。

 今、EUを危機が襲っている。ギリシャのような“劣等生”を加盟国にした結果、働かない国を助けるために、勤勉な労働を続ける国が足を引っ張られている。「みんなで発展」は幻想だったことが明らかになった。サッチャー氏の主張の正しさは、20年以上の時を経て証明されたのである。

 一国のリーダーとなる者は、目先の世論調査での支持率ではなく、国家の将来を考えて決断しなくてはならない。橋下徹大阪市長が「鉄の女」のような信念を持つリーダーになれるのか、単なる金メッキ加工の大衆迎合政治家に終わるのか――その答えを我々は見極めなくてはならない。

※SAPIO2012年5月9・16日号



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