トクホコーラ20代担当者が「納得できん」と味に待ったかけた

NEWSポストセブン / 2012年5月13日 7時0分

 コーラなのにトクホ(※特定保健用食品)。誰もがあっと驚く組み合わせの『キリン メッツ コーラ』が飲料業界にセンセーションを巻き起こしている。キルンビバレッジにおける構想2年、開発3年の苦闘の跡とは――。
 
 1年間に新しく発売される清涼飲料はなんと1000にも及ぶ。そのうち3つ生き残れば(俗に『せんみつ』という)御の字という過酷な世界。

 その熾烈な競争をかいくぐり定着したのが「トクホ飲料」で、『ヘルシア緑茶』(花王、2004年)、『黒烏龍茶』(サントリー、2006年)が市場を切り拓いてきた。

 市場ができればスーパーなどでは専用棚が設けられる。飲料メーカー大手のキリンビバレッジでも営業サイドから「我が社でもトクホ商品が欲しい」という要請が商品企画を担うマーケティング部に届くようになっていた。

 そういった要請もあり、2009年には食後の血糖値を抑えるトクホ飲料『午後の紅茶ストレートプラス』を発売した。しかし、マーケティング部の丸岡俊哉氏(現商品担当部長)は、その開発過程でもトクホ=お茶という市場の動向に疑問を感じていた。

「清涼飲料は行楽の途中、運動の後、いわばハレの飲料であり楽しみながら飲むもの。トクホ=お茶は理性的で相性もいいが、順目といえば順目。順目は人の心には響かない。ならば、トクホの炭酸飲料というチャレンジもありではないかと考えたのです」

 炭酸飲料はともすれば「非・健康」とみられがちだ。「健康重視」のイメージが強いトクホとは背反する関係だと誰もが漠然と思っている。だが、ものは考えようである。炭酸でトクホ、いやどうせなら「THE炭酸」であるコーラと組み合わせたら消費者は興味を持ってくれるのではないか?

 ギリギリのところまで味覚を追求し、最終的な味がほぼ決まりかけた、その時、20代後半の味覚担当者が「やはりこの味ではまだ納得できない」と待ったをかけた。

 コーラ好きを自任する担当者は、新しいコーラ飲料の開発にひと際強い思いを抱いていた。丸岡氏はその担当者の思いにかけた。

「マーケティングの目標は最終顧客に『ありがとう、うれしい』といってもらえること。それを実現するためなら社内調整の面倒などどうってことない」

 ほぼ決まりかかっていた味だが、再検討することになった。その結果、どんな味が完成したか――。

 グラスに注がれた「トクホコーラ」を試飲した。取材前には、「クスリっぽいんじゃないの?」という懸念がなかったわけではない。だが、飲み干した瞬間、その不安は吹き飛び、「ああ、普通のコーラですね」という言葉が自然に口に出た。

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