88才料理研究家 旬の香り伝える「天盛り」と「吸い口」を解説

NEWSポストセブン / 2012年5月14日 7時0分

 米寿を迎えたいまも、多数の料理教室の生徒をかかえ、テレビや雑誌に引っ張りだこの、“登紀子ばぁば”こと、料理研究家の鈴木登紀子さん(88才)。そんな鈴木さんが旬な香りを伝えてくれる「天盛り」と「吸い口」について話してくれた。これらは「たけのことうど、もんごういかの木の芽和え」「若竹椀」などで使われるもの。

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 旬の香りを伝えてくれる大切な脇役が、「天盛り」と「吸い口」。これらがありませんと、正式なお料理とはいえませんので、ぜひ知っておいてください。

 天盛りとは、和えものや煮ものの盛りつけの最後にのせる飾りをいいます。これがあることで「このお料理には、まだどなたもお箸をつけていませんよ」という証にもなります。日本料理ならではの心くばりですね。

 天盛りには必ず季節のものを使います。針しょうがや柚子、木の芽などが代表格で、木の芽和えにも、一葉の木の芽を添えました。

 吸いもののお椀に季節の香りを添えるのが吸い口。椀種は白身魚や貝などのたんぱく質のもの、椀妻は季節の野菜、これに吸い口を浮かべて正式なお椀となります。今回、若竹椀に浮かべた木の芽は春の吸い口にあたり、夏は青柚、秋~冬は黄色に熟した柚子などを使います。

 ちなみに「このめ」ではありませんよ。「きのめ」とお読みくださいね。また、木の芽ならなんでもよいわけではなく、お料理でいう木の芽とは、山椒の新芽だけを指します。

 天盛りや吸い口として使うときは、片手のひらにのせ、もう一方の手でポン!と軽くたたくと、香りがいっそうよくなります。

 季節のものがない端境期には、白髪ねぎ、粉山椒、針のりなどが重宝しますし、みそ汁には七味唐辛子や溶きがらしなどが使われます。

 お椀は熱々でお出しするのが鉄則。ぬるいお椀は香りも味わいも半減してしまいます。吸い口を添えましたら、ただちにお椀の蓋をして食卓に運びましょう。

 そしてお椀をいただく人は、運ばれてきたらすぐに蓋を取るのが礼儀です。蓋を取った瞬間に湯気とともにふわっとにおい立つ香りこそが、お椀の醍醐味なのですから。いつまでも放っておきますと、作った人の心が正しく伝わらないばかりか、蓋が取りにくくなったりすることがあります。どうぞ、いつも心にとめておいてくださいませ。

※女性セブン2012年5月24日号



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