震災にビクともしなかったスカイツリーの秘密を開発者明かす

NEWSポストセブン / 2012年5月19日 16時0分

 634mという世界一の高さを誇る電波塔「東京スカイツリー」が5月22日にオープン。建設途中で東日本大震災に見舞われた時、日本のモノづくりの粋を集めた現場は、どう危機を乗り越えたのか。ジャーナリストの片山修氏が、当事者たちの証言で迫る。(敬称略)

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 建設現場では、けが人はおろか、大きなトラブルも何一つ起こらなかった。スカイツリーは、完成した状態のほか、施工中に地震に遭った場合にも備え、事前に、施工段階ごとに、塔体の揺れ方などをシミュレーションし、地震対策がとられていたのだ。

「施工にあたっては、建設段階を10段階ほどに分けて、どの段階において地震が起きても大丈夫なように、解析を行なったんです。例えば、高さが高くなるにしたがってスカイツリーの揺れ方の固有周期が変わるなど、変化がありますし、制振システムの『心柱』がない状態もあります。

 どの段階で地震に遭おうが大丈夫な確認をしていましたし、クレーンなどの仮設設備には対策をとっていましたので、大きなダメージがないだろうことは、ある程度わかっていました」

 と、大林組技術本部企画推進室副部長の田村達一は言う。

 つまり、すべては「想定内」だったという。東日本大震災では、東京電力福島第一原子力発電所の事故において、東電や国の原発事故に対する「リスクマネジメント」の甘さが表面化した。その点、スカイツリーの建設現場では、震災時に大きな被害が発生しなかったことは、高く評価されていい。 

 対策の一つが、タワークレーンのマストの補強だった。一般的なクレーンの強度は、クレーン構造規格により定められているが、スカイツリーの場合、最上部に設置されたクレーンは、法令で定められた以上の負荷がかかることが考えられる。

 そこで、実際に、タワークレーンがマストを伸ばした状態で、地震波が到達した場合を想定し、コンピュータに地震動波形を入力して検討を重ねた。

 結果、マストの外の寸法は同じまま、四隅の柱を太くするなど、内部を構成する鋼材数を増やし、強度が25%アップされた。つまり、技術者たちが自ら「法令で定められた以上の対策」が必要と判断したのだ。

 さらに、マストと塔体を結ぶオイルダンパーが設置された。

「操縦室が揺れれば、オペレーターが危険にさらされます。操縦室の揺れを吸収するため、マストと塔体を、二本の制振用のオイルダンパーでつないだんです」

 と、タワークレーンを担当する、大林組機械部技術第三課長の椎名肖一は説明する。

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