仏新大統領は民主党同様に税金バラ撒き始めると大前研一氏

NEWSポストセブン / 2012年6月1日 7時0分

 フランスのオランド新大統領はサルコジ前大統領の緊縮財政路線を批判し、成長戦略を掲げて当選した。この先、フランスはどうなるのか? 大前研一氏は、オランド氏には期待が持てないと指摘する。以下は、大前氏の解説だ。

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 フランスの大統領選挙とギリシャの総選挙で、緊縮財政策を掲げた前政権が敗北した。これは、皮肉を込めていえば、日本にとっては、都合のよい結果だったと思う。

 なぜなら、先に野田政権が崩壊して消費税の5%増税にさえ失敗したとなれば、世界的な「日本売り」が始まってパニックが起きてしまうが、フランスとギリシャのおかげで、このあと野田政権が倒れても“ワン・オブ・ゼム”となり、ショックが和らぐからである。

 では、この先、ギリシャはともかくフランスはどうなるのか? 

 オランド新大統領に期待は持てないと思う。彼はサルコジ前大統領の緊縮財政路線を批判し、成長戦略を掲げて当選した。緊縮財政より経済成長を優先することで雇用が増え、税収も増加して財政再建が実現できると主張して一般大衆の支持を得たわけだ。かつての自民党の「上げ潮派」と同じ論法である。

 しかし、成長戦略は「言うは易く、行なうは難し」である。第二次大戦後の世界中の歴史を見ても、成長戦略をやり抜いた政治家は見当たらない。成長戦略を実行して成功したかのように思われている人は、実は運が良かっただけである。

「経済成長のための方程式」は、非常にはっきりしている。それは規制撤廃をして世界中からカネと企業とヒトを呼び込むことである。

 そうすると、効率が悪くて競争力のない国内の既存企業は倒産し、失業率が悪化する。失業が増えると賃金が低下し、海外からの投資が増加して雇用が増え始める。やがて海外から来た企業に雇用された人たちが需要を生み、その需要から副次的な産業が育って、新しい雇用が創出されていくのである。

 ただし、このプロセスは少なく見積もっても10年以上、フランスのような成熟した老大国では15年くらいかかる。その過程では、失業がひたすら増える。規制撤廃を行なった本人の在任中には効果が表われない。

 たとえば、アメリカのレーガン大統領は小さな政府と規制撤廃の「レーガン革命」を実行したが、その効果が出て景気が良くなったのは15年後のクリントン大統領の時代だった。

 イギリスのサッチャー首相が同様の改革を断行した時も、やはり効果が出るまでに15年かかっている。だからレーガンもサッチャーも任期中は失業が増え続け、最後は石もて追われている。

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