中国 チャン・ツィイー名誉毀損訴訟で反中メディアに圧力か

NEWSポストセブン / 2012年7月1日 7時0分

 中国の大物女優、チャン・ツィイー(章子怡)さんが、失脚した中国共産党の有力幹部らを相手に売春を行なっていたと報じた香港の新聞や雑誌、さらに米国を拠点とするニュースウェブサイトに対して、損害賠償を求める訴えを次々と起こしている。さらに、共産党機関紙「人民日報」電子版の「人民網」も、チャンさんの売春報道は「事実無根」と報じて、チャンさん支持を表明するなど異例の展開になっている。

 チャンさんの売春疑惑は、今年3月に失脚した中国・重慶市トップの薄熙来氏と2007年から2011年までの間に、北京の国際空港近くのホテルや北京郊外の西山付近の徐明氏(大連の実徳集団会長)の別荘などで10回以上に渡って密会し、薄氏と関係が深かった実業家がチャンさんに1000万元(約1億3000万円)を支払ったほか、チャンさんは他の党・政府高官とも関係を持ち、その代償として全部で7億元(約91億円)も受け取ったというもの。

 チャンさんはこの報道を「事実無根であり、想像で書いたもの」として、6月中旬、香港の有力紙「リンゴ日報」とその姉妹雑誌「壱週刊」を提訴。特に、リンゴ日報はチャンさんが薄氏や徐他の高官と「数え切れないほど」の性的関係を持ったと報じ、チャンさんを「売春婦だ」と評したことについて、訴状のなかで、「原告(チャンさん)は公衆からの非難、憎悪、軽蔑、冷笑にさらされた。また原告のイメージも深刻かつ継続的に傷つけられ、大きな損害も受けた」などと厳しく糾弾している。

 チャンさんは同紙のほか、最初に売春疑惑を報じた在米の中国専門のニュースウェブサイト「博訊( ボシュン)」についても、同様の訴えをロサンゼルス地裁に起こした。

 これに対して、「博訊( ボシュン)」側は「米国では報道の自由は守られている」として、「博訊」がチャンさんの売春疑惑を報じたのは、薄氏をめぐる事件は極めて政治性の高いニュースであり、報道機関ならば、情報をつかめば報道するのは当然と主張。さらに、チャンさんも一般の市民というよりも、公人として知られており、そのニュース価値は高いなどとして、報道する十分な理由があったと強調している。

 これについて、北京の消息筋は「博訊側が事実関係の調査をするよりも、弁解に追われていることで、ねつ造の可能性が高い。博訊側はかなり追い詰められている」と指摘する。

 このような折りも折り、党機関紙「人民日報」の電子版「人民網」は「チャンさんの売春疑惑は荒唐無稽である。しかし、チャンさんはなぜ、このような報道が一人歩きしたのかを考える必要がある。その原因を突き詰めることなしには、問題は解決しない。正義が証明されるのは、時として遅くなることもあるが、正義と出会うのは、それほど遠いことでない」と意味深長な言い回しながら、チャンさん側を支持する記事を出した。

 この理由について、同筋は「リンゴ日報や博訊はともに、反中国的な報道で定評があり、とりわけ中国当局にとって、都合の悪いニュースを報道する傾向が強いため、この事件をきっかけに叩いておこうという意図がある。また、党側がチャンさん側に働きかけて、リンゴ日報と博訊など訴えるよう仕向けたのではないか」と指摘している。

 チャンさんの提訴は名誉毀損を装っているが、逆にみれば、中国当局による報道機関への圧力に他ならないというわけだ。



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