若者のガム離れに挑むロッテ「刺激への期待・壮大スケール」

NEWSポストセブン / 2012年7月7日 7時0分

 半世紀以上、右肩上がりだったガムの売り上げが減少に転じたのは2004年のこと。ガム市場で50%以上のシェアを持つロッテは、新基軸のガムで起死回生を図った。プロジェクトメンバーの3人はいかにして難局に立ち向かったのか?

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 ロッテが初めてガムを生産したのは、昭和23年(1948)。その4年後に発売された『グリーンガム』は、ロングセラー商品としておなじみだ。

 創業者自らリヤカーにガムを山積みして売り歩いたエピソードが社内で語り継がれるほど、ガムは同社の基幹商品。開発担当は花形部署となっている。だが、21世紀に入ってガム業界に危機が訪れる。2004年をピークに業界の売り上げは減少に転じ、シェアトップを独走するロッテは危機感を募らせた。

 すぐさま『フィッツ』や『アクオ』などのヒット商品を送り出したが、さらに既存の枠を越えた商品の開発に乗り出す。2010年、商品開発部のガム企画室に宮下慎、古市丈二、大峠美貴の3メンバーからなるプロジェクトが産声をあげた。

 3人に与えられたミッションは、「ガムを噛まなくなった若者を引き寄せる商品」。マーケティング調査によって20~30代の若者には、味や機能では訴求性が薄いことがわかっていた。彼らが望んでいたのは「刺激への期待感」と「壮大なスケール」。

「つまり、若い世代の感性に訴える商品が必要ということです。こうした商品は、前例がない。全てが初めての経験で、何を決めるにも社内を動かすだけで大変な作業でした」(大峠)

 最終的に採用されたのは、イナズマ級の刺激がある『ZEUS(サンダースパーク)』と、荒々しいほどの清涼感がある『ZEUS(スノーストーム)』の2種。昨年11月、スーパーやコンビニなどとの商談がスタートすると、「明日からでもすぐ売りたい」という声が殺到した。

 開発過程から参画していた営業サイドの力の入れようも半端ではなかった。この商品のために専用の陳列棚も作成した。そこに商品を並べると、大きなイナズマが見えたり、吹雪の絵になるよう工夫されていた。

「全社が一丸になったら、こんなに力を発揮するものだと感激しました」(宮下)

 今年3月の発売時、通常の商品の初回出荷数が200~300万個なのに対して『ZEUS』は700万個を超え、話題は沸騰した。気になる消費者の評価は? これは賛否両論、真っ二つに割れた。

「この刺激がくせになると大絶賛する声がある一方で、ネガティブな評価もありました。もともと100人が100人買う商品ではなく、10人の人が10回買う商品を目指していましたから。それでも、これまでガムに無関心だった人にも注目を浴び、ガムを買ってみよう、何か文句の一つもいってやりたいとまで思わせたことは、良かった。大きな自信になりました」(古市)

※週刊ポスト2012年7月13日号



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