ボケた親 都会暮らし嫌と同居拒まれた子にどんな義務あるか

NEWSポストセブン / 2012年7月8日 16時0分

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「気になる母のボケ。息子としてどう向き合えばよいでしょう」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 父が亡くなった後、田舎で一人暮らしをしている母のボケがひどいと、近所の方から連絡を受けました。そこで一緒に暮らそうといったのですが、母は都会暮らしは嫌だといいます。しかし、母を放っておくのも心配です。何かあった場合、息子として問われる義務や責任について、アドバイスをください。

【回答】
(1)お母さんの生活が困難になる場合、(2)財産上のトラブル、(3)第三者に損害を与えた場合、を検討します。(1)では、扶養義務が問題になります。親子・兄弟の間では互いに扶養の義務があり、夫婦も同様です。しかし親に対する子の扶養義務は、夫婦間や未成熟児に対する親の関係のように、自分の生活と同程度の生活を保障する「生活保持義務」ではなく、自らの社会的身分に相応しい生活をして、余力がある限りで負う生活扶助義務に止まるとされています。

(2)は、騙されて損害を被った場合などです。お母さんが生活に困るようになれば(1)につながり、将来の相続にも関わるので、間接的にあなたに被害が生じますが、格別の義務や責任はありません。損するだけです。

(3)は、認知症が進んで近所に迷惑をかけた場合です。不法行為になれば、お母さんに賠償責任があります。もし、認知症で物事の判断ができない場合だと、責任無能力として賠償責任を負いません。

 成年後見人がいれば、法定監督義務者として責任を負いますが、いない場合、事実上監督していた扶養義務者が、不法行為を予見できるのに放置した結果、起きたと考えられ、監督義務者に準じる者として、民法第714条の損害賠償責任を負うこともあり得ます。但し、扶養義務者でも地方に住んでいて監督できなければ、該当しないと思います。結局、どの場合でも、あなたに責任が生じることは原則的にないでしょう。

 ですが、(3)があれば近所に迷惑ですし、(2)はあなた自身も損をします。(1)の通り扶養義務もありますから、成年後見制度を利用し、家庭裁判所で保佐人や後見人を現地で選任してもらい、お母さんの生活をサポートできるように検討しては如何ですか。地区の民生委員と相談することをお勧めします。

※週刊ポスト2012年7月13日号



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