部屋明け渡し時の清掃費請求 経年劣化には補修の義務無し

NEWSポストセブン / 2012年7月24日 16時0分

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「転居の際、住んでいた部屋の清掃費を請求され納得できません」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 2年間住んだ賃貸マンションを出るときの問題です。明け渡す場合、部屋を入居時の状態に戻すようにとのことなので、そのようにきれいにしたのですが、それでも家主から改めて清掃費などの費用(家賃の1か月分)を請求されたのが納得できません。応じないと、何か問題が発生しますか。

【回答】
 敷金を預けていませんか。敷金は、賃借権が終了し建物の明け渡し後、未払い家賃やその他の債務を控除した残額があれば返される条件付き債権です。このお金を預けてあって、まだ返却されていないなら、家主の請求は、敷金から1か月分差し引くという趣旨だと思います。

 その場合、この請求は実費の請求ではなく、家賃1か月分という定額での、いわゆる「敷引特約」が合意されていると思います。あなたに不満があれば、こちらから返還を求める手段を講じる必要があります。敷金がない場合は、家主は支払いを求めて、法的手続きを取るかもしれません。支払い督促、少額訴訟など、いずれも簡易裁判所による手続きが考えられます。その前に先方からの交渉があるかもしれません。

 さて、清掃費などの費用として家賃1か月分を請求することの正当性ですが、契約でどのような約定になっているかがポイントになります。退去時には清掃費等として1か月分支払うことが明確に約定されていれば、そのことを条件として契約に応じた以上、金額的に高額過ぎるということもないので、拒否できないはずです。

 しかし、そうした特約がない場合は問題になります。賃借人は、明け渡しに当たって原状回復義務があり、家具などの搬出のほか、掃除して引き渡すことが必要だからです。また、例えば棚を打ち付けた釘跡などの毀損・汚損があれば、補修義務も当然あります。ですが、経年劣化などの自然損耗まで、元通りにするまでの義務はありません。

 もし、家主から補修の要求があったら、その根拠の説明を受け、あなたに補修などの責任があることなのか、また金額が妥当か、納得を求めて交渉してはいかがでしょうか。

※週刊ポスト2012年8月3日号



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