中国「ついに一輪車経済の崩壊が始まった」と浜矩子氏が指摘

NEWSポストセブン / 2012年8月1日 16時0分

 図体はやたらとデカイが、その姿は歪で不安定――それが中国経済だ。勢いよく走っているうちはいいが、いったんよろけ始めると、世界経済の足を引っ張り、奈落の底へ道連れにしかねない。同志社大学大学院教授の浜矩子氏がユーロ危機より怖い中国経済崩壊の可能性を分析する。

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 私は以前から中国経済のことを「一輪車経済」と呼んできた。ひたすら成長することで繁栄と安定を確保し、やっとのことでバランスを取っている、という意味である。まさに曲芸的で、車輪の回転が速ければいいが、遅くなれば不安定になり、倒れてしまう。

 これまで中国は投資と輸出という2つのエンジンをフル回転させて「一輪車」を高速運転してきた。ところが、ここへきてその2つのエンジンの回転が鈍くなりつつある。

 2008年の北京五輪、2010年の上海万博の開催でインフラ整備へ巨額投資を行なってきたが、その種の“ネタ”は尽きている。また、2008年9月にリーマン・ショックが起こると、2年間で4兆元(当時のレートで約57兆円)もの財政出動を行なったが、過剰流動性によってインフレが起きてしまい、今、巨額の財政出動はやりにくい。

 輸出も欧州危機の影響が顕著だ。2007年以降、EUは中国にとって最大の輸出市場であり、中国の輸出全体に占めるEU向けのシェアは20%に及ぶ。それだけに欧州危機の影響は大きく、今年1~5月の累計で、中国からのEU向け輸出は前年同期比で0.8%減。その影響で輸出額全体は前年同期比で8.7%増にとどまった。2011年通年で20.3%増だったことを考えると減速は明白だ。

 輸出の減速を大きくしている要因は、中国が「世界の工場」になっていることだ。

 今や中国は粗鋼の生産量も自動車の生産量も世界一で、「世界の工場」と呼ぶに相応しいが、その中身はかつての「世界の工場」とは根本的に異なる。実はそこに中国経済が抱える独特のリスクがある。

 まずは18世紀後半に産業革命を起こしたイギリスが、次いで20世紀に入ってからアメリカが、そして第2次世界大戦後は日本が「世界の工場」となった。これらの国々の工場は、あくまでも自国の資金を投じることで建設され、自国の人々によって運営されていた。

 ところが中国の場合、確かに工場は中国国内に存在するが、それらは外資系企業が運営するものが中心だ。

 つまり、「中国が世界の工場になった」のではなく、「世界が中国を工場にした」のだ。

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