身寄りのない人の遺品、清掃業者による高級品転売は犯罪か?

NEWSポストセブン / 2019年3月18日 16時0分

身寄りのない人の持ち物は売ってもいい?

 平成に入って一気にクローズアップされるようになった社会問題が「孤独死」。遺体が数週間も発見されず、無残な状態で発見されるニュースは珍しくなく、そういったケースを専門にした清掃業者も存在する。身寄りのないお年寄りの遺品を勝手に売却すると罪になるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 遺品整理特別清掃業に従事しています。身寄りのないお年寄りがアパートなどで亡くなった場合、その部屋を掃除し、いらぬ持ち物は廃棄する仕事です。たまに高価な腕時計を発見することがあります。こういう場合、廃棄物として私が貰い受けてもよいですか。換金したりすると罪に問われるでしょうか。

【回答】
 身寄りがないという意味は、遺族不明なのでしょうが、この場合は遺族不存在とは違います。死者が財産を残せば、遺言がない限り、死者の親族や親疎の度合いに応じて法律が定める順番により、相続することになります。

 まず、配偶者は必ず相続人になり、子も相続人になります。子が死亡していれば、孫等の直系卑属、直系卑属がいなければ、親・祖父母等の直系尊属の親等が最も近いもの、直系尊属もいなければ、兄弟で、亡くなっていれば、甥姪までが相続できます。身寄りがわからなくても、この範囲の人がいる可能性があれば、相続財産は法定相続人により相続され、遺品は誰かの物です。

 戸籍調査で法定相続人がいないと判明しても、勝手に処分するのは問題です。民法では、「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とする」と定めているからです。

 要するに、相続人の存在が明らかでない場合、遺品は法人となり、家庭裁判所が選任する相続財産管理人が遺品を管理し、死者の債権者がいれば、遺品を競売で換金して清算します。さらに家庭裁判所は、療養看護に努めたなどの理由で特別縁故者として相当と認める人に財産を分与、なお残った財産は国庫に帰属することになっています。

 つまり、身寄りがなくても、遺品は法定相続人の物か、相続財産法人を構成する物なのです。ごみ同然の無価値の物を処分しても、誰も問題にしないでしょうが、財産的価値のある物は勝手に持ち出せません。

 死者が持っていた物は、その死亡により、占有を離脱したもので、あなたではない第三者の物ですから、遺失物横領の罪に問われる可能性もあります。高価な物は警察に遺失物届を出し、その処理に委ねるのが賢明です。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2019年3月29日号

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