コレステロールと中性脂肪 年齢によってはこの数値までOK

NEWSポストセブン / 2019年3月22日 16時0分

体脂肪測定の結果をどう見るべきか(時事通信フォト)

 生活習慣病の治療が始まる端緒となる、健康診断。定められた「基準値」が、健康か病気かを見極める境界となる。ところが、健康診断や人間ドックで“健康の判定基準”とされている数値の元になっている各学会の診療ガイドラインには、「年齢と性別」という重要なファクターが抜け落ちている。

 長年、健康基準に関する研究を行なっている東海大学医学部名誉教授で『検査値と病気 間違いだらけの診断基準』著者の大櫛陽一氏が指摘する。

「米マサチューセッツ州フラミンガムの住民を追跡調査した研究では、5歳刻みで心筋梗塞など心疾患に対するリスクが異なることが明らかになりました。健診の基準は男女別、年齢別でなければ役に立たないのです。そもそも20歳の男性と、80歳の男性を同じ基準で判断できるわけがない」(以下、「」はすべて大櫛氏)

 大櫛氏は2004年、日本総合健診医学会で、全国45か所の健診実施機関から約70万人分のデータを集めて解析した「男女別・年齢別健康基準値」を発表。大櫛氏はその後も調査を進め、神奈川など3県の約40万人の住民の健診結果とすべての疾患による死亡の関係を追跡調査し、基準内であれば死亡率が上がらないことを確認した。

 大櫛氏が調査したデータの中から、「コレステロール」「中性脂肪」について見てみよう。医師から「悪玉(LDL)コレステロールの値が高い」と告げられれば、“血管が詰まって脳梗塞の原因になるのでは”などと不安に思いがちだ。

 日本動脈硬化学会のガイドラインによると、性別や年齢にかかわらず「LDLコレステロールは140mg/dl以上、中性脂肪は150mg/dl以上」が高脂血症が疑われる基準値とされている。

 だが実際は、欧米では悪玉コレステロールという概念すらなく、その基準値はLDLコレステロールが190未満となっている。

「大櫛基準」では、65歳男性ならLDLコレステロールは180まで、中性脂肪は161まで健康とされ、学会とはかけ離れているが、世界の基準には近い。

「コレステロールは細胞膜や神経細胞、ホルモン、骨を作るビタミンDなどの原料として身体に必須であり、そのコレステロールを各細胞に運ぶのがLDLコレステロールです。この値が減ると、これらの必須要素が身体に行き渡らなくなる」

 そのため、学会などの基準値を超えていたからといって、むやみに低下薬を飲むと危険だという。

「欧米では、LDLコレステロール低下薬で糖尿病の発症率が1.7倍、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症率が10倍になったという研究結果がある」

 中性脂肪も、少ないより蓄えていたほうが長生きできるという結果が出ている。

「私たちの研究では『高脂血症の人のほうが脳卒中のリスクが減る』ことが明らかになっています。健康な人と高脂血症を治療中の人、高脂血症だが治療しない人の3グループを検証したところ、高脂血症とされた人では脳卒中の発症リスクが低く、治療するとそのリスクが高まるという結果が出ました。さらに、高脂血症を治療しなかった人は脳卒中になった割合が非常に低かった」

※週刊ポスト2019年3月29日号

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