異彩を放つNHK『アナザーストーリーズ』、制作者が語る舞台裏

NEWSポストセブン / 2019年3月26日 11時0分

3代目ナビゲーターの松嶋菜々子(写真提供/NHK)

 ポルノ、ヤクザ、オネエ……NHKらしからぬ刺激的なテーマに果敢に挑むドキュメンタリー番組『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』(NHK BSプレミアム、火曜21時~)が静かな人気を集めている。

 歴史的な大事件からスキャンダラスな話題まで、世界を揺るがした出来事の当事者たちによる3つの視点で番組を構成、知られざる“アナザーストーリー”が浮き彫りにされる。初代ナビゲーターは真木よう子、2代目は沢尻エリカ、現在放送中の3代目は松嶋菜々子、ナレーションは番組開始当初から濱田岳が務める。

 放送前から番組内容自体が“ニュース”になったのが、2016年の「ロマンポルノという闘い 日活・どん底からの挑戦」【*】だ。

【*1970年代、経営難に陥っていた名門・日活が起死回生の策として、ポルノ路線に大きく転換した。「10分に1度の濡れ場」「制作日数7~10日」「制作予算750万円(従来3000万円)」「上映時間70分以内」の条件を課された現場の葛藤と覚悟、知られざる舞台裏を多くの関係者が証言。後に『セーラー服と機関銃』を手がける映画プロデューサーの伊地智啓氏や『リング』を監督する中田秀夫氏をはじめ、女優やスタッフらが今だから語れる思いや秘話を明かした。2016年11月16日放送】

 作品の濡れ場シーンも全裸の女性もそのまま映し出し、お茶の間を騒然とさせた。「NHKなのに大丈夫か?」と視聴者までもが心配する衝撃的な回だったが、制作に踏み切った“分岐点”を番組プロデューサーの久保健一氏はこう打ち明ける。

「当初はジャパニーズホラーをやろうと思っていたんです。その際、映画『リング』の中田秀夫監督が日活ロマンポルノ出身という話題が出て、ロマンポルノも面白いよねという話になって。名監督を多く輩出している点から大義は立つ。ポルノを扱ってはいけない理由もどこにもないので、『じゃあ真剣にとことん掘り下げよう』となりました」

 第1作の女優・白川和子ほか、出演作が警視庁に摘発された田中真理が引退後約35年を経て登場。この回に限らず、事件や出来事から数十年の沈黙を破って登場する証言者も少なくない。

 NHKには『NHKスペシャル』を筆頭に、様々なドキュメンタリー番組があるが、それらと『アナザーストーリーズ』の立ち位置は明確に異なるという。

「ど真ん中はNHK総合に任せて、僕らは端っこを行くと決めているんです(笑い)。面白さと知られざるドラマを求め、誰も行かない端に立って今後も攻めていきます」(久保氏)

取材・文■上田千春

※週刊ポスト2019年4月5日号

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