証券会社が「野菜」を売る狙いとは? 大和証券社長が語る

NEWSポストセブン / 2019年4月17日 11時0分

 特に2015年に国連で「SDGs」(Sustainable Development Goals)が満場一致で採択されたことは、大きかった。SDGsとは環境や社会貢献に関する「持続可能な開発目標」という意味です。それを受けて、当社でもSDGsを経営戦略の根幹に据えました。

──近年、製造業ではSDGsを企業理念に掲げる会社が増えていますが、証券会社のビジネスとどう関係するのでしょう?

中田:日本国内だけ見ても、地方活性化、少子化対策、子供の貧困……いろいろな問題が山積みです。そうした中で勝ち残れるのは、社会的価値と経済的価値を両立した企業。そうした企業を育てていくことが、証券会社のビジネスに繋がると思いますし、当社も「新たな価値」を生み出せる証券会社となることが大切だと思います。

◆市場動向に左右されない

──狩猟型から農耕型の証券会社へという転換にも見えますが、具体的にはどのような取り組みを?

中田:たとえば昨年11月に100%出資会社として設立した「大和フード&アグリ」では、農業や食料に関わる事業に取り組んでいます。

 当社の収益の柱となるには10年はかかるでしょう。ですが、日本の農業は改善して収益をあげていく余地が大きい。これまでは大半が小規模農家で、家族的経営スタイルから抜け出せていない。農業従事者はますます高齢化し、耕作放棄地が増えています。

 その一方で、「高品質な日本の農産物、農業技術」は世界的にニーズが高い。このギャップを埋めることが大事になる。

──そこにどう関わっていくのですか?

中田:耕作放棄地や小規模農家を集約し、アグリテック(環境制御や農業ロボットなどの技術)を導入して生産性を高めていく。大和フード&アグリでは、農学博士などの専門家を役職員として招聘し、農業の専門家と証券会社としての取引や人脈を活かした新たな農業ビジネスの創造を行なっています。

 たとえばベビーリーフに関していえば、アグリテック導入で生産効率が改善し年間の作付け回数を2桁パーセント改善している生産者などもいます。販売先を確保できればキャッシュフローが安定する。いずれはこのようなビジネスを証券化することも考えています。

──「本業だけでは厳しい」という考えでしょうか?

中田:決してそうではありません。ただし証券会社には「マーケット環境が悪化すれば収益が下がる」という宿命がある。市場動向に左右されないビジネスで補完する必要は強く感じています。

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