坂本や山川にトラウト「右打者最強説」の真偽、専門家の見解

NEWSポストセブン / 2019年5月21日 7時0分

打てる理由は「左利き」だから?(時事通信フォト)

 今季冴えまくるのが巨人・坂本勇人(30)のバット。5月14日時点でセ・リーグ打撃部門の三冠王(打率.338、13本塁打、30打点)をひた走る。実は坂本は箸もペンも左手で持つ左利き。“異色の右打者”であることが好調につながっていると指摘する向きもある。

 坂本のように「左利きから右打ちに変えた」ケースは珍しいが、今年のプロ野球の成績をみると、坂本以外にも右打者が躍進している。

 パ・リーグでは、昨年の本塁打王の西武・山川穂高(27)が16本塁打、43打点と、2位以下に大差をつけて「二冠」をひた走っている。セ・リーグではトリプルスリーを3度記録したヤクルト・山田哲人(26)に、広島の若き4番を務める鈴木誠也(24)が打撃成績上位にいる。

 近年、メジャーリーグでも同様の傾向がある。エンゼルスのマイク・トラウト(27)や、アストロズのホセ・アルトゥーベ(29)など、右の強打者が増えている。

 しかし、球界では古くから、「左打者のほうが有利」という理論が定説だった。

 その理由は、「進塁する一塁ベースに近い」「投手は右投げが多いから、左打席に立ったほうが球筋が見やすい」といったもの。とくに少年野球レベルでは、足の速い子供は内野ゴロでも安打になる確率が高いからと、「左打ちに変える」ように指導するケースも多い。

 前述したような右打者たちの好成績は、こうした“左打者有利”の神話を否定するものだ。そこで本誌は、ある仮説を立ててみた。

「実は左打者より、右打者のほうが有利なのではないか」──この「右打者最強説」を専門家にぶつけてみると、意外な答えが返ってきた。

 通算306本塁打を放った右の大砲・広澤克実氏は「たしかに一塁ベースに近いのは左打者だが、右打者にも大きなメリットがある」と語る。

「それは“打球を強く、遠くに飛ばすこと”です。パワーを生むためには、利き腕、つまり力が強いほうの腕が、キャッチャー側にあるほうが有利なんです。ボクサーがパンチを撃つ時を想像してみるとわかりやすい。右利きのボクサーが右手でパンチを繰り出す時、肘の関節を畳んで大きく後ろに振りかぶって勢いをつけますよね。バッティングも同じで、キャッチャー側に利き腕があるから、右腕を大きく引いてからボールに力を伝達するわけです。西武の山川は、利き腕でホームランを打つ典型的なタイプですね」

 右利きの右打ちは“パワー”において勝る、という指摘だ。実際、今季の本塁打ランキングを見ると、両リーグ10位以内に入る23選手中19人が「右打者」と、広澤氏の指摘を裏付ける結果となっている。

「かつては、右打者は左手で引く力が重要といわれました。しかし、近年では、“引き手で引っ張る”ではなく“利き腕で押し込む”感覚で打つ選手が出てきた。時代に伴って『打撃理論』の変化が出ていることも影響しているでしょう」(スポーツ紙デスク)

 野球評論家の遠山獎志氏も「利き手で押し込むスイングをするバッターは、一発があるので一番怖い。ピッチャー心理としては嫌だと思いますね」と語った。

※週刊ポスト2019年5月31日号

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