医療・介護費の負担を減らせる完全リタイア後の手続き

NEWSポストセブン / 2019年5月29日 7時0分

リタイア後の負担を減らすには?

 人生100年時代のライフプランを考えるとき、仕事を完全に引退する70代以降は、効率的に収入を「増やす」ことに注力する期間から、できる限り資産を「減らさない」ための工夫が必要な局面へと移る。ポイントは医療・介護の自己負担を減らせる公的扶助を熟知することだ。必要な手続きを漏らさず、各種制度を最大限活用することで、安心して人生の締めくくりを迎えられるのだ。

 この年代から大きくのしかかってくるのが「医療費」の負担だ。厚労省の推計した「生涯医療費」(平成28年度)によれば、国民1人あたりの平均は2700万円になる。

 そのうち70歳からの医療費は半分にあたる1350万円を占める。リタイア後の医療費と向き合うことは避けては通れない。そこで、図にあるような公的扶助をフルに活用したい。

 たとえば70~74歳の一般的な年金生活者は、医療機関に高齢受給者証を提示すれば、医療費の自己負担が2割になる。75歳からは後期高齢者医療制度が適用されて、自己負担は1割で済む。

“とはいえ、入院や手術となると費用がかさむのではないか”と案ずる人もいるだろうが、高額療養費制度が利用できる。

「月額の医療費がいくらになっても、自己負担額の上限を超えたら超過分が払い戻されます。所得によって上限は異なりますが、70歳以上で住民税非課税世帯の場合、自己負担の上限は月2万4600円(以下、上限額の前提は同条件)です。

 所得区分によっては、本来は必要な払い戻しまでの審査を待つ必要もなくなる。住民税非課税世帯なら高齢者受給証(70~74歳)や健康保険証(75歳以上)に加え、市区町村に申請すれば入手できる限度額適用・標準負担額減額認定証を提示することで、窓口で支払う額を自己負担上限までに抑えることができるのです」(介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏)

 こうした制度があるため、入院保障などのついた民間の医療保険は不要とする専門家が少なくないのだ。

 日本人男性の健康寿命は72.14歳。介護と正面から向き合う必要が生じるのも70代である。だがこちらも医療費同様、高額介護サービス費を利用すれば、自己負担は月2万4600円が上限となる。

 さらに医療と介護がともに必要な老後世帯には、高額医療・高額介護合算療養費制度がある。

「1年間に支払った医療費と介護費の合計が一定額を超えると超過分が払い戻される制度で、自己負担上限は31万円。夫婦で合算できることが最大のメリットです」(同前)

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