【法律相談】必死に介護した義母の遺産は分けてもらえるか

NEWSポストセブン / 2019年6月5日 16時0分

義母を介護しても遺産はもらえないのか

 介護の苦労はやった人間にしかわからないもの。5年間も必死に介護してきた義母が多額の遺産を持っていた場合、嫁も遺産を分けてもらうことはできるのだろうか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【質問】
 5年前に夫と死別、同居していた義母も寝たきりに。その介護していた義母が亡くなり、問題は多額な預貯金があったこと。夫には2人の兄弟がいて、彼らが全額相続すると思っていたのですが、法律の改正で介護をした者でも遺産を求めることができるようになったとか。私の場合2人に請求できますか。

【回答】
 相続法改正で、特別の寄与として「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭の支払を請求することができる」と定められました(民法1050条1項)。

 嫁の義父母への貢献は、夫(夫が死亡していても、子がいれば、その子)への遺産分割を多くして調整できますが、相続人が夫の兄弟だけだと、その功労に報いるすべがありませんでした。

 新制度では、被相続人の親族が無償で被相続人に療養看護や労務といった身体を動かしての貢献をして、被相続人の財産の形成や維持に大きな寄与をした者を特別寄与者とし、相続人に対して金銭支払(特別寄与料)を請求できます。

 親族の範囲は6親等内の血族か、3親等内の姻族です。あなたは義母さんの1親等で、有資格者ですが、通常に比べ大きな無償の貢献があり、その結果、義母さんの療養費が助かり、相続財産の減少を防いだことが要件となります。療養看護の費用負担をした、というだけでは認められません。

 この特別寄与料は、相続人が相続分に応じて負担します。この権利は、被相続人が亡くなったことを知ってから、半年以内に行使しないと時効になりますし、知らなくても、相続開始から1年で消滅します。相続人と特別寄与料の有無や金額について協議ができない場合には、家庭裁判所に審判申し立てができます。

 この制度は、今年7月1日以後に適用されるので、義母さんの相続分は対象外です。しかし、あなたの看護で少なくとも看護代分が助かったはずで、その報酬を一種の相続債務とし、支払うよう相続人と協議してはいかがですか。

【プロフィール】1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2019年6月14日号

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