650万個の大ブーム MoMA認定の「芸術品」になった105円食玩

NEWSポストセブン / 2012年9月3日 7時0分

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大ヒット「超変換!! もじバケる」の「サソリバケる」

「漢字が動物になる」というダイナミズムが子どもだけでなく大人の心もつかみ、累計650万個売り上げる大ヒットとなったバンダイの『超変換!! もじバケる』。この“食玩”開発の裏側を、作家で五感生活研究所の山下柚実氏が報告する。

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 その商品の値段は「105円」。蓋を開けると、粒ガムが1個、コロンと出てくるだけ。ところがガムにオマケでついてくる玩具のほうは意表をついていた。プラスチック製、角張った漢字一文字で「隼」。

 そう、「ハヤブサ」と読むことはご存じですね。この漢字を、まずは説明書通りにバラバラのパーツに解体する。そして、シールを貼ったり、別のパーツと組み合わせたり、はめ込んでいくと……鋭い眼光、翼を大きく広げたハヤブサが、手のひらの上に出現!「漢字が動物になる」というダイナミズム。

 バンダイの『超変換!! もじバケる』は子ども向けの玩具入り菓子だ。2010年5月に発売された第1弾から現在の第5弾まで、シリーズ累計650万個も売り上げているヒット商品だということをご存じだろうか?

「子ども向け」なんてとんでもない。馴染んできた漢字が、あれよあれよという間に動物に変身するから、大人の心も揺さぶられてしまう。「隼」という字に続いて「犀」「麒」を大人買いしてしまった私。でも本当は「猫」が欲しかったのだ。しかし売り切れ状態。ざんねん。

 漢字が変身するオモチャなんて、どんな人が考え出したのだろうか? 興味津々で取材を申し込んだ。漢字のイメージから、頑固そうな男性が企画したのかと思いきや、意外や意外。若い女性が現われた。

「最初は、『龍という漢字がカッコいい』という小学生の男の子のおしゃべりを、ふと耳にしたところからなんです」と同社キャンディ事業部の桐ヶ谷美沙子さん(27)は企画のきっかけについて話し始めた。「これまで食玩というと、ポケットモンスターや仮面ライダーなどキャラクターの商品化が多かったのですが、私は一からオリジナルの商品を作ってみたいと思っていました」 

 桐ヶ谷さんの心にひっかかった「漢字」を使ったおもちゃのアイデア。さっそく図面を試作してみようと、グループ会社の協力メーカーであるメガハウスのOEM事業部・石塚繁氏(37)に相談した。

「たしかに文字そのものを変形させる玩具って、他に類がなかったので、最初はとまどいました」と石塚氏も言う。「漢字の部分を、いかに動物の身体に置き換えられるか。文字を逆さまにしてみたり、横に寝かせたり。CADで図面を起こしながら、本当に動物っぽい姿にできた時は何だかドキドキしましたね」

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