日中韓の領土問題 スペインの修復画騒動から考察してみよう

NEWSポストセブン / 2012年9月1日 16時0分

 日本を取り巻く国際関係がぎくしゃくしている。感情的対立ばかりでは出口が見えない。なんとか解決策はないものか……あった!大人力コラムニスト・石原壮一郎氏がスペインの修復画騒動を材料に「大人力が世界を救う」と解説する。

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 離れ小島がどうしたとか維新がどうしたとか、ギスギスした話題が多い昨今です。とりあえず目くじらを立てるのが偉いという風潮もありますが、そんな浅ましくて疲れる生き方は、プライドに不自由している人たちに任せておきましょう。

 例のスペインの修復画騒動は、困ったトラブルが起きたときに、大人としてどう対処すべきか教えてくれました。あまりにも衝撃的な画像が世界を震撼させたのは、8月24日のことです。スペイン北東部のボルハという小さい町の教会にあった、19世紀に描かれたキリストのフレスコ画。それを地元に住む80歳のおばあさんが修復したところ、原画から大きくかけ離れた状態になってしまいました。

 当初は、絵を描いた画家の孫がカンカンに怒ったり、ボルハの地域研究センターが「強く非難されるべき行為だ」と述べたり、教会は「おばあさんが勝手にやった」と責任逃れをしたりなど、おばあさんを責める論調が主流でした。「頼まれたからやっただけ」と言っていたおばあさんですが、あまりの騒ぎにショックで寝込んでしまいます。

 まあ、確かにホメられた行為ではありません。しかし、スペインの人たちや、ネットなどでこの出来事を知った世界の人たちは、素晴らしい大人力を発揮しました。サルのようにも見える絵を「これはこれで味がある」「独特の才能だ」と評価し、というか面白がって、教会には絵をひと目見ようという巡礼客が連日、数百人も押し寄せています。

 ネット上でも、修復後の顔を「最後の晩餐」や「モナリザ」などの有名な絵とコラージュした画像が広まったり、顔をプリントしたTシャツが世界各地で販売されたり、同じ絵をパソコン上で修復するゲームが登場したりなど、日に日に盛り上がる一方。「元に戻すのではなく、修復後の絵を保存してほしい」という嘆願運動も起きています。

 教会もおばあさんもショックだったでしょうけど、世界中の人たちが大人力にあふれた反応をしてくれて、少しは救われたに違いありません。もちろん事と次第によりますが、会社でのちょっとしたミスにせよ友達とのトラブルにせよ、笑い話にできることはなるべく笑い話にしてしまいましょう。たとえば、酔っ払って部長に「このハゲ!」と言ってしまった場合は、「ハゲって言うほうがハゲるんだからね!」と大きく書いたTシャツを作れば、きっと部長も……ま、結果はさておき自分の勇気をホメてあげることはできます。

 いろいろ騒々しい離れ小島の問題も、どうにかこの方向で対処できないものでしょうか。今はお互い何かに煽られて感情的になっていますが、いつまでもいがみ合ってもいられないので、やがて関係は“修復”されるはず。ただ、修復後も多少のいびつさや違和感は残るかもしれません。そのときには「ま、これはこれでいいんじゃないの」という大人な態度を取れるように、今から心の準備をしておくということでどうでしょうか。





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