代金支払い後に料金変更された場合に業者の主張通るケースも

NEWSポストセブン / 2012年9月12日 16時0分

 竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「旅行代理店の手違いで料金費用が変更となり、納得できません」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
 旅行代理店が募集していた海外旅行に申し込んだときのことです。旅行会社が最初に示していた金額が誤りであると、後になって訂正してきました。このようなミスは消費者には困る問題です。費用・料金問題を相談する関係機関としては、どんなところがあるでしょうか。アドバイスをください。

【回答】
 まず問題は、契約が成立しているかです。契約は申し込みと承諾で成立しますが、業者の募集は申し込みの誘引であり、契約の申し込みではありません。たとえば、あなたの申し込みを業者が承諾して契約が成立したとします。標準旅行業約款では、電話やFAXによる予約の場合、業者からの承諾の通知があって契約に至るとされています。

 大抵の場合、旅行代金の支払いが契約成立の条件になるようです。インターネットを使ってクレジットカードで申し込む場合、クレジット会社へ取引照会などした上で、業者からほぼ瞬時に返信がありますが、承諾の返信があれば、その時点で契約が成立します。

 金額を訂正してきたのが、電話を入れて手続きを待っている段階であれば、まだ契約が成立しておらず、金額訂正も可能です。嫌なら旅行を諦めるしかありません。ただし、業者が直ちに訂正せず消費者に期待を持たせ、他の旅行予定へ変更機会を奪う結果になった場合には問題があります。

 契約成立後は金額訂正できませんが、民法第95条で「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする」と定められ、例外的に契約が無効になることがあります。何が要素の錯誤かについては議論がありますが、代金額は旅行契約の要素です。

 10万円のところを1万円と募集に書き間違えたような場合には、表示に「錯誤」があって無効という理屈が成立します。しかし、この規定には「重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない」と例外の例外があります。となると、今回の場合、業者に重過失があり、無効は主張できないと思います。それでも、旅行業者の金額訂正に納得できないときは、消費者センターや業界団体の消費者相談窓口で助言を得るのがよいでしょう。

※週刊ポスト2012年9月21・28日号



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