田原総一朗氏「奔放な老人が激増したら世の中が変わる」

NEWSポストセブン / 2019年8月5日 16時0分

85歳のジャーナリストが選んだ次のテーマは?(撮影/上野準)

 代名詞ともいえる『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)を始め数々の報道番組では時の総理大臣から各界の論客まで舌鋒鋭く切り込んできた田原総一朗氏。御年85歳のジャーナリストが次なる取材対象に選んだのは、「高齢者の性」だった。超高齢社会を迎えた日本で、ジャーナリズムとして避けて通れない重要テーマだと考えたという田原氏は、こう語る。

「はじめに言っておくと、僕は風俗でサービスを受けたことは一度もない。性欲も、普通の人よりも少ない。ただ、老人の性というのは、今後の日本の未来を左右するテーマだと思っている」

 そう語る田原氏は、かつて50歳の頃に自身の同世代や、その下の団塊世代がどんなセックスライフを送っているのかをレポートした『飽食時代の性──セックス・ウォーズ』(1984年、文藝春秋刊)を著わした。その取材現場では、戦後世代が性に奔放になっていく様子を実感したという。

 その田原氏が、前作から35年を経て新たに高齢者のセックスを取材してまとめた『シルバーセックス論』(宝島社刊)を上梓した。

「70代、80代が若者のように自由な恋愛を愉しみ、肉体関係を持つようになっている。そうした高齢者の性事情に関心を持った」―─田原氏は執筆のきっかけをそう語る。

 いまなお「現役」の田原氏には、こんな問題意識がある。

「僕は才能はないが好奇心は強い。いま、最先端医療やゲノム編集について取材をしていますが、日本人はやがて平均寿命が120歳になる時代が来るといわれている。つまり60歳で定年を迎えて、その後の60年をどうするのか。これまでの日本人の一生は20年勉強して、40年働いて、残りの20年ほどを年金暮らしするとされてきたけれど、その人生設計を変えなければならない時代が来ている」

 そうした時代の流れのなかでは安楽死の議論に加え、年金構造の破綻、さらに従業員の4割が非正規という現状から生まれる老後格差の問題なども広がっていく。

「老人の性の問題もその延長にある。年金だけでは足りない生活のなかで、衰えない性欲を抱えながら満たす手段が得られずに苦しむ“性の老難民”も出てくる。これまで老人の性はタブー視され、誰も正面から考えてこなかった。しかし、私の世代、そしてすぐ下の団塊世代は“性的に奔放”で、自由恋愛を愉しんできた。

 日本の超高齢社会は、そうした性的に奔放な老人が激増することになる。しかし、官僚や政治家たちはそんなことを想定もしていなければ問題意識も持っていない。“枯れない高齢者”の急増で未知の領域に突入した現場で何が起きているのか。その最前線を取材しました」

 田原氏は『シルバーセックス論』の取材にあたって、昨今の週刊誌で「死ぬまでセックス」企画が話題になっていることに言及している。毎週それらの記事にも目を通しているという田原氏は、こう語った。

「結局、なんで吉本興業の芸人の闇営業問題でみんなが大騒ぎしているかというと、いやらしいから面白いんだよ。テレビだって、僕の『朝まで生テレビ!』も32年目になったけれど、なんで続いているかというと、スレスレの危ないところがあるからで、視聴率も高い。今の日本ではいまだセックスはタブー。だから週刊ポストだって企画でギリギリ攻めているところが面白いと思うよ」

 田原氏の取材テーマは常に、日本がどうなればよくなっていくのか、というところに繋がっていく。今後の高齢者の性の行方もまた、取材対象だという。

※週刊ポスト2019年8月16・23日号

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