おバカ規制 通信制高校に「教育活動を学校内で完結」を要求

NEWSポストセブン / 2012年10月6日 16時0分

 役所によるがんじがらめの規制の背景には、役人の利権や事なかれ主義がある。そのことを明らかにする当連載で今回取り上げるのは、新たに登場した「通信制高校なのに、生徒は学校の近くに住んでいなければならない」という摩訶不思議な“おバカ規制”だ。その背景にある役所の思惑を、政策工房社長の原英史氏が解説する。

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 最近、学校教育の世界で不思議な「規制」の動きがある。要するに、政府が通信制高校に対して「教育活動を学校内で完結」することを求めているようなのだ。

 言うまでもなく通信制の学校は一定期間のスクーリング(教員と直接対面する実習など)を除けば、原則として学校に通わなくてよいことが特徴だ。「教育活動を学校内で完結」というのは、「通信制」の本質の否定になってしまう。まさかそんなバカなことが……と思われるかもしれないが、こういう話だ。

 規制の対象は、構造改革特区において認められている、「株式会社立の通信制高校」だ。その7割が試験を学校外で生徒に受けさせていて、これが「違法な教育活動」にあたるので、「文部科学省が規制に乗り出す方針を固めた」という内容の記事が出た(8月19日付、朝日新聞)。

 今一つ意味がよく分からないので、何が「違法」にあたるのか文部科学省と内閣府に問い合わせた。すると、論拠はこういうことだった。

・株式会社立の学校は、特区内に限って認められている。
・したがって特区外で教育活動を行なえば法律違反になる。
・試験は主たる教育活動にあたるから、特区外で生徒に試験を受けさせることは許されない。

 ここで、「特区内」というのは、学校の存在する市区町村のことだ。「(生徒の居場所も含めて)教育活動を特区内で完結せよ」というならば、「生徒は全員学校と同じ市区町村内に居住しなければならない」という要件でも課さない限り、すべての教育活動を「学校内で完結せよ」というに等しい。それでは、「通信制」の意味がない。

 なぜこんなおバカな規制の動きが出てきたのだろうか?

 日本では、一般の株式会社の参入が許されていない領域がいくつかあり、それぞれに特別な法人の制度が定められている。その中に医療分野の医療法人、農業分野の農業法人などと並び、学校分野の学校法人がある。

 根拠となるのは、<学校教育法2条>という規定だ。学校を設置できるのは、「国、地方公共団体、学校法人のみ」と規定する。つまり、学校は「国立」「公立」「私立(=学校法人が設置)」のいずれかと決まっているのだ。

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