利益が得やすい在宅医 儲け優先でノウハウ不十分な例も

NEWSポストセブン / 2019年9月29日 7時0分

在宅医を見極める必要がある

「畳の上で死にたい」という言葉があるように、住み慣れた家で天寿を全うしたいと考える人は多い。実際、厚労省の調査によれば、7割以上が「痛みがなく、意識もはっきりしている状況下では自宅で死にたい」と回答している。

 それに同調するように、国を挙げて推奨されている「在宅死」だが、本当に幸せなのだろうか。

 看取りに関する著書を多く持つ、早期緩和ケア大津秀一クリニック院長の大津秀一さんはこんな話をする。

「在宅のいちばんのメリットは自分のリズムで生活できること。もちろん、すぐそばに家族がいるという安心感もあります。亡くなる数日前からは、『せん妄』という意識の障害を起こして落ち着きがなくなったり、幻覚を見たりするなどの症状が表れることが多いのですが、在宅のかたは入院のかたと比べ、それが軽くなる傾向がある印象です。結果として亡くなる前の苦しみが軽くなるように見える側面があるのです」

 在宅医療のエキスパートで多くの看取りを行ってきた長尾クリニック院長で医師の長尾和宏さんもこう話す。

「自然死、平穏死を迎えられるのは圧倒的に在宅です。反対に、大学病院などでは99%無理だといえる。なぜならば、医療が人の最期を苦しめている現状があるからです。よかれと思って続けている延命治療でも、ある時点からは余計な苦しみを生みかねないものです。

 たとえば、終末期に食べられなくなるのは自然なことなのに、そこに点滴で栄養を入れてしまえば、呼吸が苦しくなったり、腹水や胸水がたまる。すると、さらに水を抜くためのチューブをつなげられてしまう。医療が患者さんを苦しめるというのは皮肉なものです」

 ただし、在宅医療はそれに通じた医師やスタッフ、そして看取りに寄り添える理解ある家族がいるケースにおいてのみ可能だ。前出の大津さんが言う。

「家で苦痛が少なく亡くなるためには、家族の手助けが重要な位置を占めます。いざ在宅医療を始めてみても、想像していた状況と異なり、自宅で過ごすことにストレスを感じるようになった、というのはよく聞く話です。一方で、ひとり暮らしだからといって在宅が絶対に無理ということはなく、自宅で過ごしたいと強く希望するならば、在宅を選ぶことも可能。これはケースバイケースになってきます」

 ひとたび在宅医療を始めたとしても、家族が容体の変化に慌ててしまい、元の木阿弥となってしまうこともある。

「様子がおかしい、と動揺した家族が救急車を呼んでしまうことがある。すると、搬送先の病院で『延命の希望あり』としてさまざまな医療処置が施され、何本ものチューブにつながった最期を迎えるケースもあります。

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