トイレと浴室 病気・事故リスクを減らすリフォーム術とは

NEWSポストセブン / 2019年10月16日 7時0分

和式トイレには転倒リスクも

 定年後、自宅で過ごす時間はより増えていくが、住環境によって病気や事故のリスクが高まることはあまり知られていない。特に気をつけたいのが、トイレや浴室だ。

【×=内鍵のついたトイレ 〇=「呼び出しブザー」で緊急対策】

 例えば、排便時にいきむことで血圧が変動し、胸痛や吐き気などの異変が生じるケースがある。その際に、トイレの内鍵をかけていたことで家族がドアを開けられず、対応が遅れることもある。介護アドバイザーの横井孝治氏が言う。

「緊急事態に備え、要介護者がいる家庭では、『鍵をかけない』というルールを決めることが多い。ただ、鍵をかけないのは心理的に抵抗がある方もいます。そうした場合は、外側からも開錠できるタイプに替えておくといい。緊急時には、マイナスドライバーやコインで鍵を開けられます」

 トイレ内で急病の兆しがあったら、いち早く家族に知らせることも大切だ。

「手が届く範囲に、大きな音が鳴る『呼び出しブザー』を置いておくべきです。3000円程度から購入できます。また、トイレや浴槽では暖房をつけていないため、リビングとの温度差で血圧が変動して『ヒートショック』を起こし、心筋梗塞や脳卒中のリスクを招きます。その対策のためにも、お風呂場にもブザーを設置したほうがよい」(横井氏)

 東京都健康長寿医療センター研究所の推計によれば、入浴中のヒートショック関連の急死者は年間約1万7000人だった(2011年)。

 トイレや脱衣所に暖房を設置するのがベストだが、「1000円以内で手に入る『隙間風防止テープ』をドア、窓の隙間に貼るのも効果的」(環境衛生コンサルタントの松本忠男氏)という。

【×=和式トイレを使い続ける 〇=「簡易様式便座」で転倒防止】

 また、和式トイレには「転倒リスク」が付きまとう。

「膝を直角より深く曲げる体勢を取るのは体に負担がかかり、後ろ方向に転んで骨折したり、頭を打ち付けてしまう可能性もある。かぶせるだけで洋式便座にできる『簡易洋式便座』を取り付けましょう。3000~5000円程度で手に入り、段差のないトイレでも使用できるタイプもあります」(横井氏)

 洋式トイレへのリフォームを検討する手もある。

「要支援1以上であれば、最大で20万円の工事まで自己負担は1割で済みます。20万円以上を超えた分の費用は自己負担となりますが、検討に値する」(横井氏)

【×=浴槽が滑りやすい 〇=底に「滑り止めマット」を】

 転倒リスクが最も高い場所は浴室だ。床で滑ったり、風呂の縁をまたぐときにバランスを崩す事故は後を絶たないという。

「特に浴槽の縁が高い場合は要注意です。浴槽に出入りする際に、膝を高く曲げてまたぐことになる。浴槽内や浴室の床で滑るリスクが高まります。

 浴槽の底や手すり、床に『滑り止めマット』を敷くだけでも、転倒のリスクは大きく軽減できます。それでも心配な方は、浴槽の縁に介護用の手すりを取り付けてもよいでしょう。ただし、吸盤タイプの簡易式手すりに全体重を預けるのは危険です。手すりを検討するなら、専門業者にワンポイントでリフォームの相談をしたほうがよいでしょう」(横井氏)

※週刊ポスト2019年10月18・25日号

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