30年取材してきた記者の見た「野球人・カネやん」の魅力

NEWSポストセブン / 2019年10月8日 16時0分

豪快な笑顔が印象的だった

 プロ野球の国鉄、巨人で活躍し、史上唯一の400勝投手である金田正一氏は、現役を退いてからも『週刊ポスト』で長く「誌上総監督」として数々の名物企画を世に送り出してきた。現役時代の実績だけでなく、その強烈なキャラクターと温かい人柄で多くのファンに愛された。ロッテ監督を退任後、約30年にわたって金田氏を取材してきた週刊ポスト記者が間近で見た、金田氏の魅力とは──。

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 金田さんから最後に連絡があったのは今年7月末。「死ぬかと思ったよ」という心筋梗塞の手術を無事に終えた報告だった。

「ワシは心臓には自信があって、これまで一度も心臓で病院にかかったことがない。もちろん胸が痛いなどの予兆もなかった。体のケアには自信があったが、やはり86歳だからのぉ。もう少し運動をすればいいが、膝も痛い。今年の暑さも堪えた。(週刊)ポストの読者も高齢者が多いだろうから、記事で扱ってみたらどうだ」

 そのアドバイスに従い、金田さんの体験談を交えた「真夏の心筋梗塞」という記事を掲載した(『週刊ポスト』8月30日号)。記事が出た頃、金田さんは腹痛を訴えて再び入院。その後はICUで治療を続けていたようで、金田さんから電話がかかってくることはなかった。

 金田さんに向かって“金田さん”とか“カネさん”と呼ぶことはない。敬意を払って“監督”と呼ぶ。金田さんが電話をかけてくるときは「長嶋さんじゃ」とお決まりのネタから始まる。そして、世の中で起こった気になる出来事に対して“カネやん節”が炸裂する。

 今年はその頻度が高かったが、常に野球界のことを気にかけていた。心筋梗塞のことを話していても、話はこんなふうに展開する。

「命拾いをしたのだから、これを糧にしてもう一度自分の生活を見直そうと思っている。病室で大船渡の佐々木朗希君のことを見ていたが、ケガを恐れて投げないというのはどうかと思う。ワシは自己管理する中で故障と向き合いながら成績を残してきた。今回のワシもそうだが、ケガをして学ぶことも少なくない。一病息災という言葉もあるだろう。86年間も生きてきたワシがいうんだから間違いないよ」

 プロ野球選手が写真週刊誌に女性との夜遊びが掲載され問題になると、「英雄色を好むというが、聖人君子では野球はできん。色も人を生かすことがある」とかばい、「ワシはオンナに腕枕をするときも左腕を絶対に使わなかったし、常に登板日も意識していた。一流選手には夜もローテーションがあるんじゃ」とプロ魂を見せる一方で、下ネタで笑わすことも忘れなかった。

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