武蔵小杉で露呈したタワマンの脆弱性 災害リスク認識すべき

NEWSポストセブン / 2019年10月16日 7時0分

タワマンが建ち並ぶJR武蔵小杉駅前も冠水(時事通信フォト)

 猛烈な勢いだった台風19号によって多くの被害が出たが、武蔵小杉(川崎市中原区)エリアに林立するタワーマンションでも停電と断水が続き、エレベーターやトイレが使えなくなる建物が出るなど、意外なところでタワマンの脆弱性が注目されてしまった。住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、「タワマンはじつは災害に弱い建物であることを認識すべき」と警鐘を鳴らす。

 * * *
 一般に「タワマンは災害に強い」と思われている。しかし、私は正反対の考えを持っている。拙著『限界のタワーマンション』(集英社新書)でも1章を設けて書いたが、タワーマンションは災害に弱い住形態なのである。

 災害とは主に地震を想定していたのだが、じつは台風に対しても脆弱な面があることが、今回の台風19号の襲来によって如実になった。

 まず、今回の台風は東京の都心近辺を通過したため、タワマンの上層階では相当の揺れがあったようだ。都心のタワマンに居住していると思われる、とある有名なユーチューバーは、「まるで震度1から2くらいの揺れですよ」といって、ちょっと怯えたような動画をアップさせていた。

 地震でも台風でも、タワマンは揺れる。下層階よりも上層階のほうが揺れは大きいはずだ。地震の場合は長くても数十秒の揺れだが、台風の場合は数時間続くことがある。三半規管の弱い方なら乗り物酔いと同じ症状になるはずだ。

 だが、地震でも台風でもタワマンの建築構造面ではあまり心配はない。最近建築されたタワマンはたいていが免震もしくは制振構造になっている。地震や台風では、ある程度揺れることによって、そのエネルギーを逃がす仕組みになっているので、それなりに揺れるのは仕方ない。

 構造面でいうと、今の建築基準法ではきちんと施工できていれば、地震によって躯体などに著しい損壊が発生することはない──という強度を想定している。私はこれを絶対だとは思わないが、これまでに地震や台風で躯体構造に問題が生じたタワマンはないと認識している。

 問題なのは、何といっても電力だ。タワマンは電力が安定的に供給されることを大前提として存在し、機能する住形態だ。電力の供給に問題が発生すると、たちまち居住困難な鉄筋コンクリートの箱と化す。

 今回、台風19号の襲来によって武蔵小杉にある某タワーマンションでは、地下にあった電気室が機能不全となった。電力の供給は途絶えていないが、それを建物内に送電できなくなった。つまり、建物全体が停電と同じ状態に陥ったのだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング