山口「つけびの村」事件、噂話の数々が人々を殺したか

NEWSポストセブン / 2019年10月21日 11時0分

「噂話ばっかし、噂話ばっかし。田舎には娯楽はないんだ、田舎には娯楽はないんだ。ただ悪口しかない」

 事件後に山中から発見されたICレコーダーにこう吹き込んでいた保見は、広島拘置所で接見した私に、「村人に犬猫を殺された」といった噂話を繰り返し語った。

 事実として保見が5人を殺したことは間違いない。しかし、噂が5人を殺したのか? この問いに対する答えは裁判では結局示されなかった。最高裁では『妄想性障害』という単語すら出てこない。いわば司法は動機を確立することを避けたのだ。

 誰が殺したのかではなく、なぜ事件が起きたのかを知るためには、噂そのものを主人公にするしかない。

【PROFILE】たかはし・ゆき/1974年生まれ。福岡県出身。女性による裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」としてさまざまな裁判傍聴記を発表、その後フリーライターに。主な著書に『木嶋香苗 危険な愛の奥義』『暴走老人・犯罪劇場』など。

※週刊ポスト2019年11月1日号

つけびの村  噂が5人を殺したのか?

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