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ヤクルトのつば九郎 ノムさんにボヤかれ首吊ろうとした過去

NEWSポストセブン / 2012年10月6日 7時0分

【著者に訊け】『みんなで、えみふる! 人生が楽しくなる80個くらいの言葉』(つば九郎・著/飛鳥新社/1000円)

“ゆるキャラ”という言葉もまだなかった1994年4月の開幕戦。彼は本拠地・神宮球場に初めて姿を現わした。東京ヤクルトスワローズの公認マスコット・つば九郎氏(年齢不詳)である。

 実は彼、〈応援部部鳥〉の名刺まで持つ、勤続19年目。健康診断で引っかかること必至のメタボ体型に、「る~び~」「ちゃんね~」など、時代オンチな逆サマ言葉。そして仕事の後は西麻布界隈へ毎夜〈ぱとろ~る〉と称して飲みにゆく、昭和が香るオッサンキャラなのだ。

 そのつば九郎氏がこの度2冊目の著書を上梓した。題して『みんなで、えみふる! ~人生が楽しくなる80個くらいの言葉』。ちなみに出版経緯等々は全て〈おとなのじじょう〉。都合の悪い話は〈おさっしください〉と煙に巻く、ちょっぴりズルくて腹黒で愛すべき仕事人に、人々を励まし、〈笑みFULL〉にする、プロの極意を訊いた。

――意外にイイ本でした。部鳥はブログ『つば九郎ひと言日記』でもそうですが、文章がうまいですね。

「ありがとうございます。ていうか、いがい?(笑い)ほら、よくのみやさんのといれにひょうごがはってあるでしょ。あんなふうにまいにちすこしずつ、よんでもらえるといいなって」

―― 一家に一冊、ですね?

「そう。〈ながいものには、まかれろ〉とか、よめばたのしい、といれのおとも!」

(普段は〈こころのめ〉で話すつば九郎氏。取材には筆談で応じ、全部ひらがな。多少読みにくい点は「大人の事情」で、ご容赦を)

──本書には部鳥の日常も綴られています。ナイターの日は夜10時過ぎまで球場を盛り上げ、試合のない日も朝9時に出社して、ブログの更新などデスクワークを5時まで。働き者ですね。

「みなさんとおなじ〈ビジネスオス〉ですから。そのぶん、おふのけいやくこうかいと、かいしゃがえりのる~び~が、たのしみ!」

――今年は晴れてヤクルト製品飲み放題+年俸1万円の大台に乗せ、さらにバク宙ができたら出来高払いで2896万円増(ツバクローの語呂合わせ)と一部に報じられました。同期デビューのドアラさん(ベストセラー『ドアラのひみつ』で知られる中日の人気キャラ)と違って、やはりその体型だとバク宙は無理?

「しっけいな。ぼくはできないんじゃなく、50ねんに1どしか、やらないだけ。どあらもらいばるというより、かれが“ぜんこくく”なら、ぼくは“ちょーないかい”であいされるたいぷ。あらそいは、このみません」

――部鳥は某番組が企画した各球団マスコットの徒競走でもビリで、運動神経を疑問視する向きもあります。ちなみに体育の成績は?

「4か5。ねまわしはとくいなほうなんで(笑い)」

 ……と、清く正しく美しくを常とするキャラ業界にあって、どこか人間くさい彼は異色の存在だ。本書にも〈つばくろうは、いちにちにしてならず〉とあり、今日の人格(?)確立までには紆余曲折も当然あった。

 ここだけの話、1994年当初は「右も左もわからず途方に暮れた」と明かし、前年日本一のチームがその年は4位に低迷。野村克也監督(当時)が「こいつのせいか」とボヤいた時は〈くびをつろうかとおもった〉。

 それでも優勝経験者は、現役では今年2000本安打を達成した〈6さま〉こと宮本慎也選手と、2008年に球団キャラ初の主催試合1000連続出場を記録した部鳥だけ。12年ぶりのビールかけは、まさに悲願だ。

 そんな彼の仕事術や私生活を綴る本書で、特に印象的なのが職場の人間関係だ。ボスは現在の小川淳司監督で5人目。〈なっぱ〉こと現・日ハムの稲葉篤紀選手や、〈かずひさくん〉こと現・西武の石井一久投手らも、神宮に来れば必ず声をかけてくれ、〈はなれていても、いつでもともだち〉だ。

 ドアラの元ボスで、実は〈面白くかっこいい〉〈おれりゅう〉監督など、球団を越えた交流も野球愛あればこそ。野球が好きでこの道に入った彼にとって、仲間こそ〈ざいさん〉なのだ。

――いい職場ですね。宮本さんにはよく調子に乗りすぎて叱られるそうですが、一緒に焼肉屋に行ったり、特に仲のいい同僚が〈Fくちくん〉こと福地寿樹選手。球界歴19年目の同期ですね。

「かれだけでなく、みんな“ぷろ”だからそんけいできるし、おごってくれるひとは、とくにすき!(笑い)」

――その仲間を部鳥は応援し、観客を楽しませる仕事を19年続けてきた。実はR-1出場の野望も抱いているそうですが、秘訣は何?

「たぶんぼくらがこころからたのしむことができれば、みんなもたのしくなれる。それがぎゃくになったときは、いつかあきられると、きもにめいじることかな」

――なるほど。自分たちが心から野球や応援を楽しんでこそ、それを見た誰かが感動したり元気になれる。それは選手に学んだこと?

「はい。かれらはぷろですから。くるしむこともふくめてたのしんでいる。ほんと、すごいひとたちです」

●構成/橋本紀子

※週刊ポスト2012年10月19日号



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