元プロ雀士が回顧 阿佐田哲也氏の苦悩とG馬場さんの打ち筋

NEWSポストセブン / 2012年10月12日 16時1分

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『週刊ポスト』麻雀大会を振り返る古川凱章氏

 昭和を彩った有名人たちがこぞって参加した『週刊ポスト』の麻雀大会。その全てを間近で見てきたのが、プロの雀士として長く活躍した古川凱章氏(74)である。連載黎明期から雀聖・阿佐田哲也氏をサポートし、連載中期からは観戦記を担当してきた。決して色あせない当時の記憶を、古川氏が語った──。

 * * *
 1000回以上の歴史を持つ「有名人勝ち抜き麻雀大会」に、私は関わり続けてきました。

 そもそも、私をこの仕事に引き込んだのは阿佐田哲也先生でした。当時は先生が小島武夫さんや私と「麻雀新撰組」を立ち上げようとしていた時期で、目白にある先生の自宅に足繁く通っていたんです。

 目白の部屋に行くと、毛布の上に麻雀牌が転がっていて、先生が「ウーン」と頭を抱えている。「なんですかコレ?」と私が聞くと、「『ポスト』の麻雀大会の牌譜で場の流れを再現しているんだ」というんです。

 先生は4人分の牌譜をいちいちめくりながら観戦記を書いていました。「これじゃあ大変だ」ということで、私も手伝うことになったんです。一局ごとに全体の牌の流れをまとめた「整理牌譜」と呼ばれるものをその頃から作るようになり、その役を引き受けたのです。

 その後、阿佐田先生が体調を崩されたこともあり、私が観戦記も担当するようになります。ゲストは時代を代表する豪華な方々ばかりでしたね。

 まず真っ先に思い浮かぶのが、俳優の若山富三郎さんの奇っ怪な打ち筋です。大物手を立て続けに上がり、トップ確定かと思われたところ、万子の複合メンツで「ロン!」と勢いよくやったのですが、実はテンパっていなかった。致命的なチョンボなのですが、当の若山さんはまったくこたえた様子がない。ご本人は何もいいませんでしたが、このときのチョンボは「ワザとだ」と私は確信しています。

 実は、「勝つと来週も出なきゃならんのか?」と若山さんが脇にいるスタッフに尋ねていたのを聞いていたんです(笑い)。稽古に熱心なことで知られる方ですから、本業以外に多くの時間を取られたくなかったんでしょう。だけど、危険牌を捨てて振り込みにいっても当たらない。どうしたらいいか……点数を減らすにはこれしかないということで、とぼけてチョンボというのが真相と私は考えています。

『塀の中の懲りない面々』でお馴染みの作家の安部譲二さんも面白かった。

 対局中に誰かが『あ~っ、マズイ!』と呟いた。その途端、安部さんは両手で十三枚の手牌をサッと持ち上げ、そのままどこかへ逃げようとしたんです。若い頃に培った「条件反射」なんでしょう、警察の手入れと勘違いして、勝手に体が動いたんですね(笑い)。

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