口の片側で噛むと味がぼやける→脳梗塞を発症していた例も

NEWSポストセブン / 2019年11月13日 7時0分

ちゃんと舌の両側で味わってる?

 重大疾患を早期に発見・治療するには、自分自身が「五感の異変」にいち早く気付くことが大切だ。

 すでに重大疾患が進行し始めている“前触れ”が、五感の一つ“味覚”の変化として表われるケースも多い。東北大学名誉教授(口腔診断学)で歯科医師の笹野高嗣氏が指摘する。

「味覚は舌で受けた刺激が、脳に伝わって処理されることで感じられるもの。そのため、脳に障害があることが原因で味覚に異常が生じることがある」

 脳の障害が原因である可能性のある症状の例として笹野氏が挙げるのは、「口の中の片側で噛むと味がはっきりとわかるのに、反対側だと味がぼやける」というものだ。

「この症状のある患者を診たことがありますが、味覚検査や嗅覚検査でも異常が検知されず、脳神経内科でMRI検査をして初めて脳内で味を感じる『味覚野』の一部が脳梗塞を起こしていたことがわかりました」(同前)

 味の感じ方に異変が生じる原因はほかにも、ストレスなど心理的・精神的要因や神経系の異常というケースがある。

「常用薬」が原因のケースにも注意が必要だ。都内在住の74歳男性が言う。

「昔から甘いものに目がないのですが、半年ほど前に大好物の羊羹を食べても味がしなくなってビックリしました。それ以降、菓子はもちろん、普通の食事のメニューも味を感じず、すっかり食事への意欲が失せて体重が5キロ減りました。家内の勧めで耳鼻科を受診すると、『亜鉛不足です。何かお薬を服用してませんか?』と尋ねられてまた驚いた。かかりつけ医に言われて欠かさず飲んでいた、高血圧の薬が原因だったんです」

 こうした例は珍しくないと笹野氏が続ける。

「降圧剤やコレステロール低下薬、解熱・鎮痛薬、睡眠薬といった幅広い薬剤には、味覚のセンサーの役割を持つ細胞を壊し、味を感じにくくさせる副作用があります。また薬の摂取が唾液の分泌を減らし、味覚が鈍くなるケースもある。先に述べたように味覚の衰えが心筋梗塞や脳血管障害につながるリスクがあり、食に興味が持てなくなると栄養不足になる危険もあり、薬の多い人はかかりつけ医などに相談しましょう」

※週刊ポスト2019年11月22日号

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