世界配信がブームの音楽業界「第2の由紀さおり」探しに躍起

NEWSポストセブン / 2012年10月12日 7時0分

 音楽CD離れが叫ばれて久しい。日本レコード協会の調べによると、音楽ソフトの年間生産額は1998年の6074億円(年間生産額)がピーク。翌年には宇多田ヒカルのアルバム「First Love」が765万枚という前人未到の記録を叩き出したほか、30のアルバムでミリオンヒットを飛ばすなど、破竹の勢いは続くものと思われた。

 ところが、2000年代に入ると状況は一変する。携帯型音楽プレーヤーやネットによる音楽配信の普及により、小さな端末1台さえ持てば何百、何千もの曲が収録できるようになったからだ。その流れとともにCD販売は“右肩下がり”を続け、2011年は2818億円と全盛期の半分以下に落ち込んでしまった。

「販売枚数の見込める大物アーティストでも、いまはベスト盤を出して100万枚超えがやっと。その他は、握手券やライブ予約の優先番号、初回限定版の写真集など『特典』を同封して販売増を狙うしかないんです。音楽ビジネスといっても、肝心の音楽の質は追求せずに、ビジネスを強化して生き延びているに過ぎないのです」(レコード業界関係者)

 方や2005年から伸び続けていた有料音楽配信市場も、ユーチューブなど無料動画の氾濫により、2009年の910億円から昨年は200億円近くも縮小してしまった。

 そんな八方ふさがりの苦境下で、一筋の光明として音楽業界が期待を寄せるのが、CD販売と同時に世界中に楽曲を配信する「輸出ビジネス」である。

 今年はファッションモデルの「きゃりーぱみゅぱみゅ」が5月発売のファーストアルバムを世界51か国に向けて配信したり、女性グループ「Perfume(パフューム)」が海外専用のレーベルを立ち上げてシングルを配信したりと、各レコード会社ともグローバル展開に熱がこもる。

 音楽評論家の富澤一誠氏が、世界配信のメリットについて分析する。

「レコード会社にとってはCDジャケットをつくるコストも省けますし、できるだけ多くの国に配信して、どこかひとつでも音楽チャートに引っ掛かれば、それを宣伝文句にして日本のCDセールスに跳ね返ってくる“逆輸入パターン”も望めるというわけです」

 昨年、歌手の由紀さおりが米国の人気ジャズ・オーケストラのピンク・マルティーニとコラボしたアルバム「1969」を世界20か国以上で配信し、iTunesジャズ・チャートで1位を獲得。その勢いが日本に逆輸入されてCDセールスが伸びたのは記憶に新しい。

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