中学校が校則全廃、相手の状況考えられる優しい心育てられた

NEWSポストセブン / 2019年11月20日 16時0分

運動会では、本気のリレーで活躍する運動部。対して文化部は、手作りの衣装に身を包んで校庭を練り歩く。それぞれが得意分野で脚光を浴びることができる一日となる。小さな子どもが参加できる玉入れも大人気(撮影/平野哲郎)

 東京都世田谷区立桜丘中学校では、校則の全廃による服装や髪形の自由化のほか、チャイムは鳴らず、何時に登校してもいい。今年度から定期テストも廃止され、代わりに10点ないし20点の小テストを積み重ねる形式に切り替えられた。スマートフォン(スマホ)やタブレットの持ち込みが許可され、授業中も教室外での自習が認められている──これら画期的な学校改革は大きな注目を集め、新聞や雑誌、テレビでも取り上げられてきた。

 校長の西郷孝彦さん(65才)の初となる著書『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール』には「子育ての参考になった」「こんな先生に教わっていたら、人生が変わっていたかもしれない」などと、大きな反響が寄せられている。

◆ひとりの生徒に寄り添えば、まわりの生徒も見え始める

 桜丘中には、一年を通してイベントが目白押しだ。夏には花火の日のほか浴衣の日もあり、地域の住民たちがボランティアで着付けてくれる。ハロウィンには生徒も教員も仮装する。運動会には、小さな子どもも楽しめるプログラムが用意され、近隣のお年寄りがテントの下で椅子に座って声援を送る。

 なかでも生徒や近隣の住民が心待ちにしているのが、10月最後の土曜日に行われる『さくらフェスティバル』だ。

「23年前、生徒の発案で文化祭を行う案が持ち上がりましたが、そうでなくても多忙な当時の教員は乗り気ではなかった。だったら子どもたちの夢を自分たちで叶えてやろうと、保護者主導で開かれるようになったのが始まりです」(西郷さん・以下同)

 教室や校庭、体育館の1階が会場となる模擬店は、各部活が工夫を凝らして有料で飲食やゲームを提供。売り上げは部活の運営費に充てられる。このほか近隣の店、町会、NPO団体、地元警察署なども参加し、大学の学園祭並みに盛り上がりを見せる。

 体育館3階のステージでは、在校生や卒業生、教員も参加自由のバンド演奏やダンス、全国的にも評価の高い演劇部による演目が上演される。

「学校主体では、ここまで自由にできなかった気がします。スタートは後ろ向きなものでしたが、保護者が積極的にかかわってくれたことが、かえって自由度を高めたと思います」

 今年まで3年にわたって、このイベントの責任者を務めた母親は言う。

「ステージでは、中学に入ってから楽器を始めたまったくの初心者がバンドを組んで出演するので、緊張で演奏がつまってしまうこともあります。でもそんな時は、客席から手拍子が起こることがあるんです。声援も飛んだりします。普通なら、反抗したり斜に構えたりしたい年頃なのに、誰かをけなすような雰囲気にはならず、応援してくれる。うちの子たちって、本当に優しいんです」

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