オバマの体たらくでイスラエルが行動する可能性と落合信彦氏

NEWSポストセブン / 2012年10月25日 16時0分

 中東・北アフリカのイスラム圏で反米デモ、暴動が止まらない。この動きは他の地域に波及する可能性があるとジャーナリストの落合信彦氏は指摘する。以下、落合氏の解説だ。

 * * *
 まず、反米暴動の背景を読み解く必要がある。

 直接の引き金となったのは、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱した映画『イノセンス・オブ・ムスリムズ』だった。映画については当初、イスラエルのユダヤ人が製作・監督を務めたという情報が流れた。イスラム教を侮辱する内容だから、「いかにもイスラエルやユダヤ人がやりそうなこと」と考えるかもしれないが、そう単純ではない。

 言葉は悪いが、インテリジェンスの世界は「何でもあり」だ。自国の利益のみが正義であり、道徳的な価値観は関係ない。

 例えば、今回のような映画を「中国人が作った」という情報を流し、実際そうであるような痕跡を残せば、イスラム圏では一斉に反中国暴動の連鎖が起きるだろう。パキスタンに触手を伸ばし、イスラム圏にまで影響力拡大を目論む中国の力を削ぎたい国が、そうした工作を行なう可能性は十分にある。

 今回のリビア領事館襲撃はアルカイダの一派によるものであることが確定的だ。アメリカでは映画の予告編動画をYouTubeにアップロードしたとされるエジプト系アメリカ人が当局に連行されたが、一連の流れを考えればアメリカへの憎悪を掻き立てたいと考えたイスラム原理主義者によって映画が作られた可能性すら排除できない。リビアで領事館が襲われたのは、あの米同時多発テロと同じ9.11だった。

 残念ながらオバマにはそこまで深く考える能力はない。背景を理解しようとせず、表面の事象にあたふたと対症療法を施すだけであった。

 オバマは昨年の「アラブの春」の際も何もしなかった。アメリカは批判を怖れて各国の政変に影響力を及ぼすことを放棄したのだ。その結果、春は来ずにイスラム原理主義が台頭する「アラブの嵐」が起こり、これからは冬がやってくる。

 それはさらなる混乱の引き金にすらなる。オバマの体たらくに業を煮やしたイスラエルが行動を起こす可能性が高まっているからだ。

 イスラエルは地続きでイスラム教国家に囲まれる。国を守る意識の高さはアメリカや日本の比ではない。周囲の国々で原理主義者の力が高まるのをアメリカが見過ごすのであれば、イスラエルにとって国家存亡の危機だ。さしあたって最大の脅威は核開発を進めるイランであり、アメリカの制止を振り切ってイラン攻撃に踏み切る「Xデー」はそう遠くない。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
NEWSポストセブン

トピックスRSS

ランキング