【法律相談】2019年、弁護士が最も興味を抱いた裁判は?

NEWSポストセブン / 2020年1月2日 16時0分

弁護士が興味を抱いた裁判は?

 2019年も色々な事件が世の中を騒がせたが、法律の専門家である弁護士は、どんな裁判に関心に抱いたのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 ついに2020年春、120年ぶりに民法が大改正されます。まだ、改正の概要などが私たちに徹底されていないのが現状で、どのような混乱が起きるのか心配ではありますけども、その前にぜひ、竹下弁護士が2019年に関心や興味を示された事件や裁判の判決例などを教えてください。

【回答】
 2018年10月の韓国大法院判決が最も興味深いのですが、紙幅の関係もあり、紹介は控えます。昨今の自然災害の中で注目したいのは、東日本大震災後、北上川を遡上した津波で多数の小学生が死亡し、学校の責任が問われた、大川小学校事件について最高裁が2019年10月、上告棄却の決定で支持した仙台高裁判決です。仙台高裁はハザードマップでは、津波到達の予見が不可能だったため、過失がなかったとの学校側の反論を退けました。

 当該ハザードマップは地震で北上川の堤防が脆弱化し、津波により破堤するリスクを検討していなかったもの。しかし、指示に従うしか術がない小学生の安全を守る重大な責任がある教師や校長には津波について一般人より、はるかに高度なレベルの認識が必要であり、小学校の立地条件に照らしても、詳細な検討をすれば津波を予見できたとしています。

 そして、学校はあらかじめ避難場所を定め、かつ避難経路及び避難方法を具体的に記載した危機管理マニュアルを作成すべき義務があったのに、これを怠った責任があると判断したのです。さらに学校の危機管理マニュアルの不備の修正を指導しなかった教育委員会の責任も認めました。学校にとっては厳しい判断ですが、小学生たちの保護を考えれば、やむを得ないと思います。

 先般の台風・大雨では、急傾斜地として危険区域の指定がない場所での、がけ崩れが多数発生。大川小学校事件が示すように、ハザードマップは概略で一般的なものです。身を護るためには、これらに頼らず、各自の環境に照らして判断する必要があるようです。

 刑事事件だと日産ゴーン事件では司法取引もあったようで、私も関心があります。ただ、公判は2020年、判決は相当先になりそうです。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2020年1月3・10日号

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