ヒゲダンはなぜ大ブレイクしたか 染み入る楽曲と硬派キャラ

NEWSポストセブン / 2019年12月31日 7時0分

Official髭男dismのメンバー(写真提供/ポニーキャニオン)

 2019年──。2010年代の終わりでもあり、日本においては令和という新時代の始まりでもあったこの年は、様々なシーンを見ていても過渡期であり乱世の幕開けすら予感させた。そんな不安定で不安がつきまとう時代、J-POP界で頭角を現したのが、今年の第70回NHK紅白歌合戦にも初出場を果たす「Official髭男dism(通称:ヒゲダン)」だ。

 彼らは突然シンデレラストーリー的に世に躍り出たわけではなく、着実に活動を積み重ねてきたうえで現在の地位までたどり着いた実力派バンドである。

 2012年に結成し、2015年にインディーズデビュー。その翌年に本格的に音楽活動を行うことを決意し、地元である山陰地方より上京する。そんな中、2017年にTV番組『関ジャム 完全燃SHOW』内の『プロが選ぶ2017年上半期ベストソング』で音楽プロデューサー・蔦谷好位置が彼らの楽曲「始まりの朝」をピックアップ。放送を受けて、バンド側も瞬時に音源をYouTubeへとアップした。

 その後も蔦谷は同番組内の『売れっ子音楽Pが選ぶ2017年ベストソング10』で彼らの楽曲「Tell Me Baby」を選出する。J-POPとしての親しみやすさに、ブルーノ・マーズを彷彿とさせるファンクセンスやスタイリッシュさが加わったポップソングは、たちまち早耳のリスナーの心を掴んでいった。

 そのスタイリッシュ性の根源にあるのが、コードワークとリズム。メインソングライターでありボーカルとキーボードを担当している藤原聡は、ヒゲダン結成前にドラマーとして活動しており、今もライブでダイナミックなドラムプレイを披露することもあるほどの手腕の持ち主である。

 そして鍵盤は楽器の性質上、ギターよりもコードに自由が利くため、コードの表現も多彩。「Tell Me Baby」はまさにそれをわかりやすく落とし込んだ楽曲で、フレーズのリフレインが続くのにのっぺりとした印象を与えないのは、細かくもなめらかに展開するロマンチックなコードワークに、そこに付随するメロディと、それを引き立てる譜割り(※音符に対しての歌詞の付け方)を兼ね揃えているからだ。

 2010年代の日本の音楽界は、どれだけフックを残すか、大きなファーストインパクトを与えられるかで、聴き手の意識を掴もうとするものも多く見られた。だからこそ聴き手にはヒゲダンのミッドテンポで心地好い、洒落たビート感は新鮮に響き、愛嬌のあるメロディとそれをナチュラルに歌いこなす藤原の歌唱力は安心感を与えた。聴いていると自然と目の前が鮮やかにロマンチックに色づくような感覚も、彼らの音楽を何度もリピートしたくなる理由だろう。

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